新型コロナ感染予防のマスクが生活に欠かせないものとなり、アパレルやスポーツメーカーの参入が相次いでいる。中でも男性に人気なのが、吸汗・速乾といった機能性で優位性を持つスポーツ系マスクだ。落ち着いたトーンを採用し、スーツにしっくり合う「クールさ」が魅力。さらにこの秋、本格的に展開を始めるのがミレーやマムートといった山系のアウトドアメーカーだ。すでに指名買いする男性客も多く、品薄が続きそうだ。
フランスの登山用品メーカー、ミレーは7月末、登山家の野口健氏と共同開発した山用マスクを数量限定で店頭販売したところ、即日完売した。8月末には、オンラインストア会員限定の抽選販売が行われたが、購入希望者が多く、手に入らない人が続出した。
スイスの登山用品メーカー、マムートは8月下旬に「3Dニットコミュニティマスク」を売り出し、即完売となった。
山系ブランドには根強いファンがいるが、登山ウエアやバッグで培った機能性とファッション性に魅力を感じる一般ユーザーがさらに増え、日常使えるマスクに指名買いが集まる格好となっている。
秋冬モデルは、汗よりフィット感を重視
ミレー、マムートはそれぞれ、10月中に秋モデルを発売する予定だ。ミレーが10月下旬に発売する「ホールガーメント マスク」は、吸汗・速乾性能に優れるアクリル繊維「コラックス」と肌触りの良い綿素材とをコンピュータープログラムによって立体的に編み上げたもの。「夏モデルは汗で顔とマスクがくっつきにくい仕様だったが、秋モデルは縫い目がなく、軟らかい素材を使って、包み込むようなフィット感を持たせている」(ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン)という。カラーは明るいグレーで、「MILLET」のロゴは紐部分に小さめに入っているため、スーツにも合わせやすい。タウンユースとしてもコーディネートを邪魔しない。
マムートの「コミュニティマスク」は、前モデル同様、通気性に優れ、抗ウイルス仕様の生地を使っているが、10月末発売予定の秋モデルは、3Dニット構造をやめ、顔にフィットする形状を採用している。カラーは黒のほか、ブルー、カーキ、ホワイトを予定。マンモスのロゴ入りの小さなタグがアクセントになっている。「コミュニティマスクは主にタウンユースを念頭に置いているが、ハイキングやトレッキングなどのアクティビティーにも十分使用できるもの」(マムート スポーツ グループ ジャパン)と説明する。
「山に登るときにもマスク着用はマナーになっている。登山者を守り、安心して山を楽しむためにマスクは必需品」(ミレー)。今後、ほかの山系メーカーでもマスクのラインアップが増えてきそうだ。
スポーツ用マスクもラインアップを増強中
人気のスポーツメーカーやアパレルメーカーのマスクも秋に向け、新色や新デザインが投入されており、好みや装いに合わせてマスクも選べる時代がきているようだ。
アンダーアーマー「UAスポーツマスク」は、激しい運動でもずれないフィット感、通気性の良さ、生地や縫製の質感の高さでアスリートを中心に評価の高いマスク。カラーが黒一色とウエアと合わせにくかったが、9月中旬からパーブル、グレー、ネイビーの新色を追加した。
ヨネックスもウエアに使う涼感素材「ベリークール」を使用した春夏向けの「スポーツフェイスマスク」が品切れ状態に。新製品の「ベリークールフェイスマスク」では、T型ワイヤー構造を採用し、鼻口を圧迫せず、さらに呼吸しやすい立体構造に改良している。カラーやデザインなどバリエーションも増やし、黒、ピンク、ブルー、シルバーの柄入りとネイビー、アイスグレーの無地をラインアップした。