変わり続けることでロングセラー 日経POS人気商品「日経POSセレクション2020 ロングセラー」発表

日本経済新聞社は小売業のPOS(販売時点情報管理)データに基づき、10年以上売れ続けて好調をキープしている人気商品「日経POSセレクション2020 ロングセラー」を発表した。誰もが知っているソーセージや焼きそばの人気ブランドはもちろん、在宅勤務で需要が増えた入浴剤など、消費者のし好の変化を的確に捉えながら変わり続ける商品がロングセラーとして生き残っている。

マルちゃん焼そば、家庭に定着

「生焼きそば」カテゴリーのナンバーワンが、東洋水産「マルちゃん焼そば 3人前 480g(めん150g×3)」だ。ライバルを寄せ付けず10年連続でトップを走り続ける。直近8月のシェアも37%と群を抜く。

東洋水産「マルちゃん焼そば 3人前 480g」

1975年11月発売で今年45周年を迎える。もともと業務用焼きそばソースを販売していたが、焼きそば人気の高まりを受け家庭用に開発した。今では一般的な3人前の分量も、当時の世帯人数の平均にあわせたもので、フライパンで調理できる最適な量でもあったからだという。

発売以来、味はほとんど変えていないが、2002年に姉妹品として塩焼きそばを追加。その後たらこ味、お好みソース味などラインアップを拡大したが、オリジナル味のトップは揺るがない。

カテゴリーナンバーワンに加え、10年間の来店客千人当たり金額は981.9円と、食品全体でも4位。食卓に欠かせない商品として根付いていることがわかる。

今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響による全国一斉休校や、在宅勤務の増加で家庭での昼食需要が増加したことを受け、4月の来店客千人当たり金額が前年同月比51.8%増、5月同47.2%増と売り上げは急増した。

8月末には期間限定で「香るバター醤油味」を発売。昨年11月には元バドミントン選手の潮田玲子さんをアンバサダーに起用した。内食でのチルド麺の定着にさらに力を入れていく。

超熟、ごはん意識し主食に

毎日のように食卓に上る食パン。市場に占める売り上げ規模も大きく、メーカー各社がしのぎを削る。この分野で10年間連続して首位を守るのは、敷島製パンの「Pasco 超熟 6枚入」。1998年10月発売の超ロングセラー商品だ。

敷島製パン「Pasco 超熟 6枚入」

人気の理由はもっちりとした食感と、ごはんをイメージしたという飽きのこない味わい。これらを実現するために採用したのが、小麦粉の一部を熱湯でこねる製法だ。

この製法に挑んだ背景には当時の社内事情がある。主力商品が振るわず「救世主的な商品が求められていた」(敷島製パン)。半年にわたる試行錯誤の末、独自の「湯種製法」により商品化に成功。異例の大ヒットとなった。

20年以上にわたってトップブランドの地位を維持し続けるため、同社は10回に及ぶリニューアルを重ねた。06年から食品添加物を極力減らす一方、15年に国産小麦の配合を開始。食の安心安全を求める新たな購買層の獲得にもつながった。

日経POSデータによると、新型コロナウイルスの感染拡大による需要増により、超熟の来店客千人当たり金額は、3月以降連続して前年同月比2桁増と好調な売れ行きを見せる。一方、消費者との最大の接点であり、販売拡大に貢献してきた店頭での試食販売のハードルは高い。新たな生活様式が定着するなか、今後はSNS等の一層の活用を通じて、顧客とのコミュニケーションを強化していく考えだ。

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