スタバが新型店 JINSと組み「働く人の集中スペース」

日経クロストレンド

縁側的な機能の重要性

Think Labのブースは集中するのにちょうどよい狭さの隔絶された空間

「新型コロナ以前から、テレワークを推進するのは国の方針であり、個人向けにも、コワーキングスペースのようなコミュニケーションを主体としたスペースが増えてきた。しかし1人で集中できる場所は少ないし、ヒアリングをしてみるとニーズもあったので、BtoC向けの事業化に向けて19年にThink Labを別会社化した」(井上氏)

一方、スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)とJINSは同じ敷地内に併設出店するという店舗展開を16年に始め、現在、そうした形の店舗は11店舗に上る。JINSで眼鏡を購入し、眼鏡が出来上がるまでの待ち時間にスターバックスを利用したり、来店頻度の高いスターバックスの顧客がJINSでショールーミングをしたりするなど、互いに相乗効果が高いことが分かったからだ。

「そうして協力関係を積み重ねてきて、単に隣り合わせに出店するだけでなく、一緒に新しい顧客体験を提供できるような、もう一歩踏み込んだ店舗開発ができないだろうかという機運が盛り上がっていた」とスターバックス コーヒー ジャパン経営企画本部戦略部部長の福島巨之氏は振り返る。そうした中で、BtoC向けの事業を始めるThink Labとスターバックスが、「一緒に、新しい場所づくりにトライしようというプロジェクトが19年2月にスタートした」(福島氏)。

「会社にずっといなければいけない時代は終わった。副業を持つ人も増えるだろう。これからのワーキングスペースには働き方の自由度を上げ、選択肢を増やすことが求められる」と福島氏は言う。プライベートと仕事、本業と副業を行き来し、気持ちを切り替えるためには、空間の多様性が必要になる。その点、「この店にはプライベートと仕事モードの“縁側”的なものがある。開店してみて、その重要性に気づいた」と福島氏。究極の集中環境の手前の緩和した空間が縁側として機能し、集中環境への出入りをしやすくしているというのだ。

「縁側機能をもっと明確に意識して、意図的に実装することによって、色々な交流をつくり出したり流れを変えたりできると思っている」(福島氏)

(デザインジャーナリスト 笹田克彦、写真提供 スターバックス コーヒー ジャパン)

[日経クロストレンド 2020年9月2日の記事を再構成]

「マーケ・デジタル戦略」が分かるデジタルメディア、日経クロストレンド

「日経クロストレンド」では「P&Gマフィア」「AIを使ったリアル店舗の逆襲」「クルマ・鉄道を変えるモビリティ革命『MaaS』」「中国ネット企業の実情」など、次の時代を予見するマーケティング・デジタル戦略の特集記事を毎月たっぷりお届け。マーケ担当者に加えて、経営者・役員やIT担当者など、幅広い層に読んでいただいています。


MONO TRENDY連載記事一覧
注目記事
MONO TRENDY連載記事一覧