九州食市のメニュー「博多名物とりかわ」(1本199円・税別、写真はイメージ)。甘辛い味付けの鶏皮串で、外はカリっと、かむとじゅんわり脂がしみ出す。8月4日の開店から31日までに、5037本売り上げたという人気料理

「私、横丁が好きなので、渋谷で横丁をやってくれませんか」――実は、渋谷横丁は同社初の大型商業施設への出店。「RAYARD MIYASHITA PARK」の開発を手掛けた三井不動産の若手女性担当者(当時)の声掛けにより実現した。以前、ビール会社に勤めていたことから同社との付き合いが生まれた同担当者は、恵比寿横丁の大ファンだったのだ。

一方、日本全国の食材やメニューを集めた19もの店で横丁を構成することができたのは、浜倉的商店製作所が10年前に有楽町に出店した店で、魚介類やブランド牛などの産直食材やご当地メニューの開発を進めてきたため。「当社は、『食材は裏切らない』と考えていて、食材からメニューを開発します。産直食材に力を入れた店をやっていると、どんどん新しい生産者とのつながりができ新しいメニューが生まれるのですが、どれもご縁があってできたメニューなので、既存メニューをやめたりはしない。渋谷はこうした積み重ねがあったからこそ、可能になった横丁なんです」(安藤氏)。渋谷横丁では新規メニューも開発したため、全体で約2500ものメニューをそろえている。「同横丁は、横丁文化と地方の食文化を発信するという当社のこれまでの仕事の集大成」と同氏は言う。

列島を縦断するような感覚を味わえる、横丁内の長い通路。写真提供:浜倉的商店製作所

長い通路のある渋谷横丁では、同社が手掛ける横丁業態の、ある大きなこだわりも存分に体感できる。同社では、必ず店々の間を1本の通路が通り、通り抜けができる空間づくりをしているのだ。「通り抜けができる通路がないと、ただのフードコートのようになってしまう。通り抜けできることで、店に入らずぷらぷら歩くだけでも楽しいという空気が生まれる。どの店も生きてくるんです」(安藤氏)。ちなみに、通路はまっすぐではなく微妙に曲がりくねっている。本物の横丁を歩いているかのような雰囲気を演出するためだ。

同横丁には、これまで同社が手掛けてきた横丁業態とは異なる特徴もある。立地から、若者から会社員、ファミリー客までと客層の幅が広いため、ランチ需要も見込んで、これまでの横丁業態よりラーメンやご飯ものといった、食事需要をとらえるメニューを多く取りそろえているのだ。

各店にはその土地土地にちなんだユニークなドリンクメニューもある。写真は広島東洋カープのヘルメット型ボウルで提供している「カープボウルでカープ梅酒サワー」(999円・税別)。写真提供:浜倉的商店製作所

「MIYASHITA PARK」自体も今年最も注目される大型新施設の一つであり、渋谷横丁は都内で旅行気分を味わえる場として、これからますます注目されそうだ。

(フリーライター メレンダ千春)

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