全国の自慢ギョーザも食べ比べ 渋谷の巨大横町で舌鼓

「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤード ミヤシタパーク)」内に8月4日オープンした飲食店街「渋谷横丁」。巨大横丁に誰もが目を引き付けられる
「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤード ミヤシタパーク)」内に8月4日オープンした飲食店街「渋谷横丁」。巨大横丁に誰もが目を引き付けられる

8月4日、渋谷区立宮下公園と一体になった東京・渋谷の複合施設「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」内の商業施設「RAYARD(レイヤード) MIYASHITA PARK」に巨大飲食店街「渋谷横丁」がオープンした。施設の南側1階にオープンした同横丁は、19もの店が軒を連ね、総面積330坪(約1000平方メートル)、全長100メートルにも及ぶ。経営する浜倉的商店製作所(東京・中央)は横丁業態の先駆者として知られるが、同社が手掛けてきた数々の横丁の中でも最大規模。渋谷駅から徒歩3分の場所に出現した令和の横丁空間は圧巻の迫力だ。

昔ながらの商店街のように、小さな店がエリア内にひしめき合うのが特徴の横丁業態だが、渋谷横丁内の店の主なテーマは日本各地のソウルフードや産直食材。列島を12の地域に分けて店舗を展開、駅から最も近い場所に位置する「沖縄食市」に始まり、「九州食市」「東海食市」などと横丁内の通路を進むと次第に店がテーマとする地域が北上、「北海道食市」にたどり着く。日本各地を旅しているような雰囲気だ。そのほかに、鶏や牛・豚、全国の漁場から直送される魚介類といった食材をテーマにした専門店もあり、長い通路を歩きながら、どの店に入ろうかと悩むのも客の楽しみだ。

人気のご飯ものメニュー、金沢名物「ハントンライス」(999円・税別)。オムライス状の料理の上にエビと魚のフライがのる。「北陸食市」で提供

ケチャップライスの上に薄焼き卵をのせ、カジキマグロやエビのフライをどんとトッピングした金沢の「ハントンライス」や、濃い口しょうゆの塩辛い黒いスープが特徴の「富山ブラックラーメン」など各地の人気名物料理が目白押し。同横丁の「ハントンライス」には、中濃ソース、ケチャップ、生クリームと合わせたタルタルソースがかかり、ボリュームたっぷり。さしずめ大人のお子さまランチといったところだ。なお、ハントンライスの「ハン」はハンガリー、「トン」はマグロを指すフランス語で、ハンガリー料理をイメージして考案されたと言われる。一方、富山のブラックラーメンは、もともと炭鉱で働く肉体労働者のために生まれたというラーメン。そんな料理の背景を話題にしながら、舌鼓を打つのも一興だろう。ちなみに、同横丁のブラックラーメンで使用する麺は有名製麺所、浅草開化楼のものだ。

当初の計画では24時間営業だった同横丁。新型コロナウイルスの影響から、現在は時間を短縮して営業している。「開店は午前11時からですが、午後3時ぐらいから8割ほどのお客様はお酒を召し上がっています。少し早く仕事が終わるなどで明るい時間から飲みたいというとき、意外に居酒屋はやっていない。そうしたお客様のニーズをとらえているのでしょう」と浜倉的商店製作所トータルディレクター、安藤素氏は言う。建物の脇を通り抜ける道側には、350席ものテラス席があり、風通しがよい場所で飲みたいという客の心もくすぐる。

塩辛い、黒いスープが特徴の「富山ブラックラーメン」(999円・税別)。粗びき黒コショウをトッピングしている。北陸食市のメニュー。写真提供:浜倉的商店製作所