ジョブディスクリプションが明らかにする「役割と能力」
ジョブディスクリプションとは、「職務記述書」のこと。「仕事の役割」と、「必要な能力」を具体的に見える化したものです。
これまでの日本の雇用慣行では、求人募集時の「募集要項」は、簡単な仕事内容と勤務地、勤務時間、給与、社会保険などが書かれているのみで、職務を精緻に言語化できていませんでした。直接、業務プロセスを管理せず、結果をすりあわせてセルフマネジメントする社会においては、職務を明確に定義しておかなければ、多数の従業員との間に必ず齟齬が生まれてしまいます。これも契約社会型への移行の一つと言えるかもしれません。ちなみに、ジョブディスクリプションは、以下のような項目で整理されています。
●職務に関するもの
・職務の内容
・職務の目的
●仕事の役割
・目標
・責任
・権限の範囲
・関わりを持つ社内外の関係性
●必要な能力
・技術・知識
・資格
・経験
・学歴
上記の情報を詳細に記述することによって、「仕事の役割」と「必要な能力」の見える化を図り、人と企業の契約内容の目線合わせを行っていきます。
新しい働き方を日本経済再生のきっかけに転換できるか?
今回のコロナ禍で日本の働き方は、これまでのスタイルから一気に変化させようとしています。これまでの働き方が、20世紀の工業化社会に最適化されたもので、かつバブル崩壊以降、「失われた30年」の遠因になっていたものだとすれば、コロナ禍は日本経済にとってのチャンスになる可能性を秘めています。
職場のデジタル化や自立したマネジメントが急速に進むことで、デジタルリテラシーの高い人材の確保が企業の重要課題になります。学歴や年齢と言った表層的条件ではなく、スキルで付加価値を生み出せる人材を採用・育成していく企業が今後の日本経済の主流を担っていく可能性があります。コロナ危機は、日本経済を筋肉質に転換していくものになるかもしれません。
その時代に働く個人に問われることは、いかに生産性を高め、これからの時代に必要とされるスキルを身につけることができるかどうかです。ぜひ、ピンチをチャンスに変えられるよう、この機会を生かしていただければ幸いです。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
