89年ぶり気温54.4度を記録 地球はどこまで暑くなる?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/8/31

近年の記録的な気温は、人の影響なしでは、ほぼ起こり得なかったと結論づける研究が相次いでいる。私たちが大気中に炭素を排出し続けると、地球はどこまで暑くなるのか。

正確に予測することは難しいと、専門家は言う。「将来の熱波の気温の上昇幅は、どれほど遠い未来を予測するか、どれだけ多くの二酸化炭素を私たちが排出するかに大きく左右されます」と、米ローレンス・バークレー国立研究所の異常気象の研究者マイケル・ウェーナー氏はメールで回答した。

しかし、ウェーナー氏らのチームによる最近の研究で、私たちが炭素排出量をまったく削減しない場合に将来の熱波がどのようなものになるのかを、のぞき見ることができる。今世紀の終わりまでに、米カリフォルニア州の熱波の最高気温は、現在よりも約5.6~7.8度も高くなる可能性がある。

先日のデスバレーの気温の記録は、100年に1度しか起きないレベルのものだったのだろうか? 「私の予測では、起きる頻度としては現在と同じくまれなものの、今は54.4度で済んでいる気温は、温室効果ガスを大量に排出した未来においては約60度になることでしょう」とウェーナー氏は話す。

金星と同じ運命をたどるのか?

だが、はるか未来の地球の運命に比べれば、5度や10度の上昇は取るに足りないことかもしれない。

太陽は歳をとるにつれ明るくなる。地球の表面は熱くなり、やがて海はストーブの上に置いた水みたいに煮えたぎるようになると、惑星科学者が昔から予測している。強力な温室効果ガスである水蒸気が大気中に流入し、「暴走温室効果」の引き金となる。そうなれば10億年後、地球は、隣の金星と大して変わらない姿に変わってしまうかもしれない。金星は、硫黄を含む有毒な厚い大気に覆われていて、表面の温度は摂氏475度程度だ。

「太陽が明るくなり続けると仮定すれば、同じことが地球でも起こるだろう」と、米ノースカロライナ州立大学の惑星科学者ポール・バーン氏は話す。さらに彼は、数十億年前には、金星にも快適な気候や海があったのかもしれないと付け加えた。

金星が不毛の地となったのは、太陽と関係がなかった可能性もある。最近の研究で、高温化の原因は一連の火山噴火であり、これが「大気中への二酸化炭素の途方もない大放出」を引き起こした可能性があることが示唆された。いずれにせよ、私たちの手には負えない現象により、未来の地球の気候は悲惨なほど高温になり、制御不能に陥る可能性を示している。

地球が金星のような運命をどうにか逃れたとしても、約50億年で火を噴くことは避けようもない。その時、太陽は膨張して赤色巨星になり、地球は灼熱の炎に包まれる。

「太陽が地球をのみ込んでしまうというのが、定説です」とバーン氏は語る。

(文 MADELEINE STONE、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年8月24日付]

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