顧客対応もオンラインと対面の組み合わせで

白河 力強いお言葉ですね。最初に決算に響くのではとされたことも杞憂(きゆう)だったと。働き方を積極的にアップデートしていく姿勢は、さまざまなリスク対応にも生きるのではないかと思います。例えば、新型コロナウイルスの影響を受けての働き方はいかがでしょうか。

仲井 緊急事態宣言下では出社頻度を減らして「8割テレワーク」に、宣言解除後は「3割テレワーク」でしたが、現在は「7割テレワーク」を推奨しています。そう言う以上は私自身も実践しなければと、週に1、2日はテレワークに切り替えています。それで違和感なく業務は進められていますので、今後もテレワークという働き方は常態化できそうだという実感はありますね。

白河 住宅メーカーというと、お客様との接触対面での営業が基本だという常識があったと思いますが、今後はそのコミュニケーション方式も変わりそうですか。

仲井 変わっていくと思います。4~5月にオンラインでの打ち合わせを推奨したことで、社員のスキルはかなり向上しましたし、お客様も対応してくださいました。一方で、やはり直接対面してご説明するのが効果的なシーンはありますので、今後は対面とオンラインを組み合わせた接客方式がスタンダードになっていくでしょう。例えば、壁紙のサンプルを数センチ四方のサイズで見るのと、実際に壁一面に貼ったモデルハウスで見るのとでは、印象はだいぶ変わります。バーチャルで情報を提供しながらお客様の気分を高めた上で、実物を見ていただくような組み合わせがいいのではないかと考えています。

白河 イクメン休業によってしっかり家庭にコミットする経験ができていた方々は、在宅で仕事をする働き方にもスムーズに移行できそうですね。今後も「テレワーク」は継続する予定ですか。

仲井 どういう働き方が最適なのかを検証している最中ですが、イクメン休業の時と同様にインパクトのある発信がポイントになると思っています。「年間20日間は会社に来てはいけない」というルールを決めても面白いかもしれないです。これはまだ誰にも言っていない私の思いつきですが(笑)。

白河 そういった斬新なひらめきを実現するスピードも御社の強みですね。先進的な男性育休にとどまらない、今後のさらなる展開を楽しみにしています。

あとがき:積水ハウスの仲井社長と念願かなっての対談です。企業がトップから本気で推進すればスピードは速い。メディアに取り上げられ、世論が起こり、政府の方針にも影響を与える良い事例です。またESG投資のS(Social)の部分でグローバルに評価されるのは「女性の管理職比率」だけでなく「ジェンダー平等」なので、男性のワークライフバランスを推進することは評価対象になります。

何よりも男性育休で長く「休む」ことで、仕事の棚卸し、効率化が進むことが一番の働き方改革です。小泉進次郎環境相が育休をとったことから、環境省のテレワーク化は省庁の中で一番進み、コロナ禍での働き方への変化がさらに進みました。男性育休は持続可能な働き方へのトリガーになるのです。

白河桃子
 昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年頃から執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:稲垣純也)