営業も人事も「クリエーター」 社員の創造力引き出す博報堂 水島正幸社長(下)

水上スキー部でチームづくり学ぶ

――日常業務の中で、最先端の情報を得る時間を作るのは大変そうです。

「仕事に関して学ぶ一番早いやり方は、詳しい人に話を聞くことです。本を読んだりするのは大変ですから。実際に新商品が出たら買ってみたり、新サービスを体験して自分で触れてみたりすることも大切です。私は新しもの好きで、最新のガジェット(目新しい電子機器)も大好きなので、すぐ飛びついてしまいます。人工知能(AI)スピーカーは発売された4種類全部買って、家に並べましたよ」

「電動バイクも買いました。でも、すぐ充電しなくてはいけないなど、私にとってはイマイチだと感じましたが、それも実物に触ってみないと分かりません。新しいテレビドラマも、娘に『この出演者はどんな人なんだ?』と教えてもらいながら一緒に見ています。はやりものには積極的に手を出そうとしていますが、最近は新しいもの出るのが早すぎて、ちょっと追いつかなくなってきました」

大学4年の時に水上スキー部のキャプテンを務めて以来、後輩の面倒を見続けている(前から2列目左端、2007年のインターカレッジで)

――学生時代の経験で今に生きていることはありますか。

「スポーツの経験ですね。慶応大学時代は水上スキー部に所属して、4年生のときにキャプテンを務めました。全日本学生水上スキー選手権(インターカレッジ)でチームを率いて挑みましたが、敗退しました。慶応は強豪校だっただけに、『もっと練習していれば』『先輩にきちんとアドバイスをもらっていたら』と後悔しましたね。そこから後輩たちを育てていこうと思うようになって、水上スキー部のコーチや監督、OB会長などを務めました。大学の後輩の面倒をみることが生きがいの一つと言えます。今では考えられませんが、夜中の0時まで会社で働いたあと、山中湖にある合宿場に行って朝5時から7時ぐらいまで練習を見て、また会社に戻って働く、なんていうこともしていました」

「スポーツにはそれぞれの競技ごとに本質がある、というのが持論です。例えばラグビーでは、仲間と肩を組んで前に進むこと。駅伝はたすきという一つの思いをつないでいくことです。水上スキーはモーターボートでスキーヤーを引っ張るスポーツなので、『人が人を引っ張る』ことが本質です。人が人を引っ張ることは人材育成に通じますし、その喜びや苦労を学ぶことで、人として成長できるということを後輩たちには伝えています。大学の部活動では、4年生の引退に合わせてリーダーが1年ごとに変わります。毎年新しいチームを作ることになりますし、チーム作りや組織作りを学ぶ場として最適だと私は思います」

「会社に入って社会人になると、ある程度大きな仕事を任されて物事を決めるのは、年齢が上にならないとできません。一方、学生は若いこともあって意見を言いやすい環境ですし、判断も自分たちでできます。学生時代は単に4年間スポーツをして終わった、ではなくて、チームを作り上げる経験の場だということも意識して取り組んでほしいですね。社会に出てから、その経験が生きるはずです」

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