チームリーダーのぶつかり合い 会社の仕事の幅広げる博報堂 水島正幸社長(上)

博報堂社長 水島正幸氏
博報堂社長 水島正幸氏

博報堂社長を2017年から務める水島正幸氏は「営業畑」出身のバリバリの広告マンだ。広告業界では19年にネット広告費がテレビ広告費を抜くなど、ビジネスモデルが大きく変わりつつあり、新しいアイデアを求められる時代に入った。変革が迫られる時代だからこそ、水島社長は「得意先も巻き込んで一つのチームを作り上げていく」ことが、広告会社トップに必要な取り組みだと考える。

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――リーダーに必要な条件は何でしょうか。

「自分で実現したい夢を掲げて、それを自ら動かしていくことがリーダーとしての一つの像だと思います。『自分でこうしたい』『これを成し遂げるんだ』という思いがあるかないかでリーダーとしての器量に雲泥の差があると思いますし、発信するメッセージの力が変わってきます。広告業界にいる以上、言葉は選んで使っていかないといけません。リーダーのメッセージ力は重要だな、と思う場面が多いです」

「自分でメッセージを考えないと発信力は落ちていきます。考えたことに執着して自ら動いていく。そして周りを動かしていく、というのが、私にとって理想のリーダー像の一つです。もちろん、自分でやれることは少ないですが、トップが初動を率先してやることで、チームや周りの人が動くスピードも変わってくると思います」

――どのような経験から、そう考えるようになったのですか。

「新入社員にもよく話しているエピソードですが、先輩との出会いですね。私が入社して間もないころ、ある先輩に『博報堂には、出ない杭(くい)は打たれもしないという言葉がある』と教わりました。先輩は『博報堂には面白いスタッフがいるし、得意先にも恵まれている。だけど、ほうっておいても仕事が面白くなると思ったら大間違いだ』と。自分で動いて、たたかれながら前に進んでいかないと仕事は面白くならないぞ、と忠告してくれたのです。その先輩は私とは違う部署だったのですが、この人と一緒に仕事したい、と思って上司に伝えると承諾してくれました。それで先輩について仕事をすることになりました」

「当時、博報堂と取引のなかった音楽関連メーカーとの仕事に、先輩と取り組むことになりました。先輩は新たに取引をしてもらうため、外国人タレントを起用したテレビCMを提案しました。その外国人タレントは日本に来た経験がなかったのですが、口説き落としてテレビCMに起用することができれば、音楽関連メーカーを顧客にできる、と先輩は考えていたのです。行動力のある人で、先輩は『ちょっとアメリカ行ってみる』とメーカーの担当者と一緒に米国へ出発してしまいました。新人の私はハラハラしたのですが、しばらくすると国際電話がかかってきて『外国人タレントと契約を結べたぞ』と言うのです。そして先輩が日本に戻ってきたときには、仕事として形になっていました。外国人タレントの訪日ツアーを設定してテレビの特番を組むなど、色々な仕事に結びつけていたのです」

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