多くのチームが勝手に動く「山脈型」が魅力

――人を引っ張り込む力を目の当たりにしたのですね。

「そのスピード感と、仕事のスケールの広がりに『博報堂の仕事の面白さはこれなんだな』と実感しました。自分で仕掛けて、執着することで世の中を動かすことができるのは広告業界の仕事の醍醐味ですし、それを社会人1年目で体験できたのは幸いでした。博報堂は様々な得意先と仕事をします。得意先に合わせて、多くの社内チームが独立して動いていますが、それぞれのチームが社会を動かす面白さを実感しながら働いてくれれば、さらに仕事の幅は広がるはずです」

自分で動いて、執着すれば世の中を動かせるのが広告マンだと実感した(1987年当時の水島氏)

「博報堂は業界内で『山脈型』と呼ばれています。色々なチームが勝手に動くことを大切にしています。つまり、そのチームの数だけのリーダーが必要になってきます。たくさんのリーダーがそれぞれ自分の思いを持って行動していく、そしてその塊が博報堂グループであればいいな、と社長になった今でも思っています」

「社長としては、チームのリーダーたちを後押ししようという考えでやっています。自由で、やや緩いぐらいが社にとっていい、そういう文化だと思っているので、統制しようとしすぎると良さがなくなってしまう。ハンドルの遊びがあるぐらいのほうが、面白いアイデアやクリエーティビティーが出てくると思っています。もちろん、目指すべき大きな方向は中期経営計画などで示しはします。でも、その枠組みの中でリーダーたちがアイデアを広げていくことが良いと思うのです。むしろ、もっと山脈に連なるリーダーたちが増えてくれればいい、と思っています」

――リーダー同士がぶつかり合ったりしませんか。

「ぶつけ合うほうがいいと思っています。博報堂は『粒ぞろい、粒違い』だと、外部の人によく話すのですが、個性豊かな人がたくさんいる会社です。いいところといいところがぶつかり合うことで、掛け算のように仕事の幅が広がっていきます。粒違いの人同士がぶつかることがチーム力だと私は考えています。ぶつかり合って互いに鍛え合って、相乗効果を仕事に生み出すことが重要です。そういう意味で、職種間の壁などはできるだけ取り払うようにしてきました」

新型コロナの影響で、リモート飲み会が増えた(画面下が水島氏)

「私自身も、ぶつかり合った経験が多いからです。私は営業畑が長く、任されている仕事の中で『得意先と一緒に、これを実現したい』とか、『得意先の企業イメージや売り上げを業界内で押し上げて行きたい』という目標は当然できてきます。得意先を背負った以上、手伝ってくれるチームメンバーと同じ思いや志を共有して互いに鍛え合うことが欠かせません。チームとして、どう得意先に貢献できるかを考え抜く際に、ぶつかり合うことは何度も経験しました」

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変な広告マンこそ、信頼築ける