営業も人事も「クリエーター」 社員の創造力引き出す博報堂 水島正幸社長(下)

博報堂社長 水島正幸氏
博報堂社長 水島正幸氏

博報堂は「クリエイティビティで、この社会に別解を」というフレーズを掲げる。水島正幸社長は営業畑出身だが、日々の仕事の中で大切にしてきたのはクリエーティビティーだという。変化が激しく、先が予測できない時代には、「正解より、別解」が求められるとみているからだ。そのためには「社員全員がクリエーターのように、仕事に創造性を発揮してもらう必要がある」と水島社長は考えている。

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――仕事をする中で、「こういうリーダーになりたい」と目標にした人はいましたか。

「前任の戸田裕一会長です。彼はコピーライター出身で、私より一回り以上年上なのですが、とても多くのことを学ばせてもらいました。私が営業担当だった顧客企業向けのチームに、戸田氏がクリエーティブ・ディレクターとして参加したときがありました。営業部門のディレクターが私で、広告制作の責任者が戸田氏です。今から25年ほど前ですが、当時の日本には入ってきていなかった最先端の広告手法を、戸田氏は積極的に取り入れようとしていました。社内での打ち合わせ中に『ブランディングって知ってるか』『コンシューマーインサイトってのがあるんだよ』と、色々教えてくれるのです。当然私は分からないので、その都度説明をしてもらいました。戸田氏は『広告もどんどん技術を上げていかないといけない。博報堂でもそういう研究を始めてるんだよ』と当たり前のように話すのです。通常の仕事をするだけで満足せず、常に新しい知識をインプットする姿勢を見せて、そのための場を与えてくれました」

「得意先へのプレゼンテーションでも、戸田氏は新しく仕入れた知識を惜しげもなく入れ込んできます。そうして得意先が興味を持ってくれると、戸田氏は得意先も巻き込んで新たな広告手法などの勉強会を開くのです。目先の仕事を効率よく進めたり、得意先の売り上げを増やすために試行錯誤したりすることも、もちろん重要です。でも、常に新しいものを仕事に取り入れていく取り組みや、広告業界全体のプレゼンスを上げていこうとする姿勢に、強く感銘を覚えました」

「私も見よう見まねでやっているうちに、『水島が新しいことをやっているぞ』と、先端の広告ノウハウを学んだ人や、興味を持つ人が自然と集まってくるようになりました。得意先とも広告を作るだけにとどまらない、新しい仕事が増えていきました」

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