履き心地にも注目 革靴職人が作る「ダッドスニーカー」

FACYに寄せられた投稿には「ボリューム感のあるスニーカー」を求める声もあった。形やデザインに存在感がある一足であれば、コーディネートのアクセントにもなる。

愛知県春日井市にある「Synapse(シナプス)」のウェブショップマネージャー、貞方竜二氏が薦めるのはYOAK(ヨーク)の一足だ。

「シャツとジャケットに合わせるスニーカー」をコンセプトに掲げる日本発ブランドの一足。半世紀以上続く東京の工房で一点一点手作業で作っている。YOAK / LORRY 3万6300円(税込み)

「厚みのあるソールは、近年バレンシアガが提案して人気を集めた『ダッドスニーカー』を思わせますね。ややインパクトはありますが、上質なレザーの質感と統一感のある色使いのおかげで、実際はかなり取り入れやすい。トレンドアイテムに挑戦したい方から、使い勝手のいいスニーカーをお探しの方まで、幅広い層に好評をいただいています」

見た目だけではなく、履き心地にも注目してほしいと貞方氏は語る。

「ソールにはイタリアのビブラム社が開発した『ビブラム ローリングゲイト システム』を採用しています。歩行を補助してくれるような構造になっているため、長時間履いていても疲れにくいです」

ヒールの高さは約5cm。足の動きに順応する形状の「ビブラム ローリングゲイト システム」が歩行をサポートしてくれる
カラーはホワイトのほかにブラックも展開。履き口とライニング(靴の内側部分)には柔らかく通気性のいい豚革を使用している。蒸れによる不快感も生じにくい

なじみのあるスニーカーとはやや毛色の異なるデザインだが、どのようにコーディネートすればいいだろうか。

「ビジネスシーンであれば、ブラウンやネイビーなど、濃い色のセットアップに合わせるのがいいと思います。カジュアルに使うなら、長袖のTシャツにショートパンツというシンプルな合わせがおすすめ。足元のほどよいアクセントになってくれます。足首くらいの丈のソックスを合わせると、こなれた印象になりますよ」

貞方氏のコーディネート例。トップスにはChildren of the Discordance(チルドレンオブザディスコーダンス)の長袖Tシャツ、ボトムスにはLA MOND(ラモンド)のショーツ、靴下はKURO(クロ)のリブソックスを合わせている

純白にはない味わい 英国の名門シューズブランドもおすすめ

東京都目黒区の「Coper(コペル)」の店主、張ケ谷鉄平氏にも話を聞いた。選んでくれたのは「WALSH(ウォルシュ)」の一足。1961年に英国で創設されたシューズブランドだという。

英国のエベレスト登頂隊が使うシューズも手がけた老舗ブランドの一足だ。アッパーはスエードと防水素材「ベンタイル」生地とのコンビネーション。アウトソールはビブラム社のものを採用している。WALSH / TORNADO VENTILE L24 2万2000円(税込み)

「ベースになっているのは、1983年のロンドンマラソンの陸上競技で多くの上位入賞者が履いていた『TORNADO』というモデルです。デザインは当時からほぼ変わっていないのですが、今も見劣りしないほどファッション性が高い。いまだに英国製を貫いていて、ソールにもビブラム社のものを採用するなど、質の高さも申し分ありません」

「履き心地としては、かかとの心地よいホールド感に驚かれる方が多いです。街用とランニング用とで、2足購入するお客様もいらっしゃいましたよ」

かかと部分のホールド感を評価する声も

白ベースのカラーリングではあるが、クリーム色に近い色味も特徴的だ。張ケ谷氏によれば、純白のレザースニーカーとはまた違う魅力があるそうだ。

「はっきりとした白色に比べて、こちらは柔和でより落ち着いた印象ですよね。特に合わせやすいのは、カーキのミリタリーパンツやチノパン。取り入れるだけで、足元をより大人らしく見せてくれますよ」

文:FACY編集部 山梨幸輝(https://facy.jp/)


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