逃げるは恥だが役に立つ LINE舛田氏の「耐える力」「ネット興亡記」に学ぶサバイバル術 (5)

――そこで、グーグルの背中を追うことをやめた。

「そうです。それまでは、グーグルと同じ土俵で検索で戦おうとしていた。グーグルに恋い焦がれてリスペクトし続け、チャレンジする相手だと思い続けた。でも、そうじゃない戦略を選んだのです。LINEはクローズド(閉ざされた世界)で、検索できないものですから」

――LINE誕生の本質は「検索屋が検索を捨てる」という自己否定にあると思います。失敗したら何も残らないというリスクが頭をよぎりませんでしたか。

「そうですね。私たちは検索をやるために集められたメンバーです。それなのに検索の足しにならないサービスを作り始めたのです。しかも現場には特に説明もせずにスモールチームで。検索チームからすれば、『あの人たちは何をやってるの』と。自分たちは検索をやるためにここにいるのに、(幹部陣は)全く検索のことを見てくれない。そういう不満はあったと思います」

毎週、目標値を上方修正していた

「実際に(メッセンジャー機能を)リリースすると、それまでに見たことがないようなスピードでLINEが成長していきました。最初の目標は3万とか、5万のユーザー数だった。私は毎週、会議で目標値を上方修正していた。『上方修正の舛田』と言われていたくらいです。目指す数字が最初は万単位だったのが10万単位になり、次は50万単位と増えていきました。ここまではもともといた検索のメンバーでなんとかなった。ただ、LINEはメッセンジャーだけで終わらせるという思いで作ったわけではありません」

――そこで社内を見渡すと旧ライブドアのメンバーがいました。ただ、2010年にライブドアを買収した際に提案した「5つの約束」をほごにすることになります。ブランド、雇用、経営体制、経営ポリシーを維持し、成長を支援する。要するにライブドアの独立を守るという約束でした。

「LINEという名前には、人と人をつなぐことだけでなく、色々なサービスやコンテンツをつなげていくという構想を込めていました。プラットフォーム構想です。それを実現するために、バラバラだった内部の組織をつないでいきたいと思った。ただ、サービスとかブランドってそう簡単には捨てられない。やはり思いがある。さぁ、どうしようと」

――「5つの約束」は舛田さんの提案でした。言い出しっぺが約束をほごにできないと。

「ところが(ライブドア社長の出沢剛氏が)、会議で『もういいよ。気を使わなくて』と言ってくれた。それを聞いて、思わず僕は『え、いいの?』と言っちゃいました。ライブドアのメンバーが一緒にやってくれるということになってから、急速にプロジェクトが走り出しました」

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