高倉理さん(07年物理五輪「金」)

高倉理さん(本人提供)

高倉理(たかくら・さとる)さんは灘高校3年だった2007年、イランで開かれた物理五輪で金メダルを獲得した。物理五輪の日本代表では初めてで、前回記事に登場した村下湧音さんとのダブル受賞だった。11年に大阪大学を中退し、阪大大学院に飛び級。17年に宇宙地球科学専攻で博士号(理学)を取得した。現在は東大国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の特別研究員などを務め、宇宙の全方向からほぼ均等に届く電磁波「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」を精密観測する国際共同実験に参加。宇宙誕生の謎に迫る最前線のひとりだ。

物理五輪を経験したことで「自分の才能を生かして物理学の発展に貢献したい」との志を抱いた。物理学は真の法則へ我々を導く「コンパス」であり「手探りに様々な理論を考え、それが正しいかどうか実験で検証する」ことのくり返し。根気の要る今の研究にも「最先端の研究活動に必要な能力は答えのある問題を解くことだけではない」との思いで挑み続けている。

憧れの科学者は、1964年にCMBを発見し、のちにノーベル物理学賞を受けた米国のアーノ・ペンジアス氏とロバート・ウィルソン氏。その発見が「ノイズの原因を突き詰めた結果である点が、自分の仕事と相通じる」と感じている。

オススメの学習法は「授業を聞くときも教科書を読むときも常に何か質問することがないか考える」こと。さらに「相手がどう論理を組み立てているのか、自分はどう考えるのかを整理し、相違点を議論する」ことで、より確かな知見を身につけることができるという。

栗原沙織さん(10年生物学五輪「金」)

栗原沙織さん(本人提供)

栗原沙織(くりはら・さおり)さんは北海道札幌西高校2年だった10年、韓国で開かれた生物学五輪で「金」に輝いた。東大から東大大学院に進み、生物科学を専攻。19年に修士号(理学)を取得した。現在は民間企業で業務改善のためのデータ分析などを担当している。

「生物という対象の手に負えないほどの複雑さと多様性に圧倒されるばかり」だが、そこに科学的な探究の手がかりを与えてくれるのが生物学だという。自身の目標に「生物多様性の魅力の普及」を掲げるのも「生命現象の真の面白さは多様性の中にあると信じている」からだ。

生物学五輪への出場は「面白い人たちとのつながり」を生み、代表同期を中心に現在も一緒にセミナーを開くような仲間を得た。憧れの科学者が「特になし」というのも、多様な一人ひとりの中に面白さをみるからなのかもしれない。

学習の第一歩は「対象に興味を持つこと」だと考える。中高時代は「もともと好きだった理系の勉強はもちろん、苦手だった歴史や古文も、(その教科を)好きな人の話を聴いたり、背景を調べたりして興味を持ち、楽しんで学ぶことができた」という。

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野田和弘さん(10年地学五輪「金」)
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