「虎ノ門ヒルズ駅」が6月に開業した。東京メトロの地下鉄日比谷線で56年ぶりの新駅となる。何の変哲もない日比谷線の駅に見えるが、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーも開業し、虎ノ門ヒルズへのアクセスが良くなるだけでなく、将来は東京の交通ハブをも担う重要拠点になる計画だ。
外出自粛緩和がステップ1の段階だった開業日の6月6日昼前、虎ノ門ヒルズ駅に降り立つと、ホームには乗り物ファンらしき人や親子連れの姿がぽつぽつ。駅の光景は他の日比谷線駅と大きな違いは感じられなかったが、そこに、東武線の座席指定制列車「THライナー」が颯爽(さっそう)と入線してきた。ダイヤ改正により6日から地下鉄日比谷線と相互乗り入れし、虎ノ門ヒルズ駅でも午前中の2本は乗降可能だ。のぞくと真っ赤な背もたれのロングシートが目立つスタイリッシュな車内。霞ケ関―恵比寿間はフリー乗降区間だが、電源やWi-Fiも完備し長距離通勤も快適になりそうだ。
THライナーを見送って改札から地上に出ると、そこには白いフラットパネルの仮囲いに覆われた工事現場が広がっている。新駅は開業したものの、このエリアでは開発が現在進行中。付近の虎ノ門ヒルズは14年に開業したが、(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー、虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワーなどはすべて21年以降の完成だ。
反対線側ホームに行くにも、地下2階の通路が完成していないため、一度地上に出て国道1号の横断歩道を渡らなければならない。地下鉄駅への地上出入り口も白い仮囲いに覆われて、いかにも「仮」だ。
そんな仮開業感にあふれたスタートではあるが、もちろん良くなった点もある。まず虎ノ門ヒルズへのアクセスが断然楽になった。中目黒方面行きの下り線ホームからは、改札を出て徒歩3分ほどでそのまま虎ノ門ヒルズへ。さらに銀座線虎ノ門駅まで徒歩7分ほど(約435メートル)かかるものの、広い地下通路でつながっている。東京メトロの駅間で乗り換え可能な時間が60分に延長され、ショップやカフェ、レストランも利用できる時間的余裕がある。
電車利用の面でも、銀座線虎ノ門駅から六本木に行こうと考えた場合、今までは青山一丁目駅で大江戸線に乗り換え20分ほどかかったが、これからは虎ノ門ヒルズ駅から乗れば短縮される。