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風景に溶け込む特急 西武「ラビュー」に乗ってみた

南田裕介の変わる「鉄」を見にいく

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NIKKEI STYLE

会社員なのに「鉄道好き」としてなぜか有名になってしまったホリプロの南田裕介マネージャー。彼が日々変わり続ける鉄道の現場をたずねる連載。今回は、新型車両を見学! 西武鉄道の池袋線・西武秩父線で3月16日から運行が始まる新型特急車両「001系 Laview(ラビュー)」の試乗会に参加しました。

現在池袋線を運行中の特急車両「ニューレッドアロー10000系」の後継車となるラビューのキャッチコピーは、「いままでに見たことない、新しい車両」。今までにない新しさとは、どんなものなのでしょうか。車体、運転席、客室などを南田さんが見学しながら、鉄道マンたちに取材をしました。

埼玉県・小手指にある西武鉄道の車両基地へ

南田裕介(以下、南田) (ラビューを目の前にして) おぉ、 先頭車のルックスは想像していたよりも丸い球面ですね。見たことがない形……!

平山ゆりの(息子の影響で鉄道好きになり始めた「浅鉄」ライター。以下、平山) 前面ガラスは曲線半径が1500mmと大きな3次元の曲面ガラスを採用しているとか。これは国内初だそう。丸みを帯びたラビューは、優しい印象を受けますねぇ。

西武鉄道沿線事業企画部の手老善さん(以下、手老) 既存の特急車両のシャープなカッコ良さを追求するのではなくて、「都市や自然の中で、やわらかく風景に溶け込む特急」がコンセプトの一つです。それを実現するため、前面ガラスは、曲面が全体の編成へと自然に連続するようにゆるいカーブのある断面になりました。

平山 そう、「風景と一緒になる特急」なんですよね。車体のシルバーは一般的なステンレス素材に見えるけど、アルミ素材の車体に塗装が施されているそうです。映り込み具合を意識した素材感を追求しているそう。

南田 なるほど。確かに、今止まっている車体には、隣に並ぶニューレッドアロー・クラシックの車体の色が映し出されている。「風景になじむ鉄道」とは、車体にその時々に走る風景が写るということなのか!

手老 連続して並ぶ大きなガラス窓も特徴です。現行のニューレッドアローの約1.5倍となる縦1350mm×横1580mmの大型窓ガラスを配置しました。乗車したお客様は沿線の風景を大パノラマで楽しめます。沿線を走る鉄道を外から眺める人は、乗車するお客様が額縁の絵のように映ることをイメージしています。

南田 「新しい価値観」といえば、「001系」とつけられた車両形式には、驚きました。初代レッドアローは5000系、ニューレッドアローは10000系。そこに連なる3代目ですから、ラビューは50000系と予測していました。それが001系とは! 

手老 鉄道ファンの方の中には、仮名称「50000系」としてすでに語っている方もいらっしゃいました(笑)。

平山 50000系か001系か。「新たな価値観」というほどの話なんですか。

南田 新しい概念ですよ。新車両が生まれた際につける形式は、前の形式が廃止されない限り、新しい番台をつけるのが慣例です。昨今は番台の数も「東武70000系」のようにインフレして、どんどん大きくなる傾向があったんです。それが、「1系」でもなく「001系」ですからね。全く予想できませんでした。

手老 001系は、「次の100年に向けた出発点である車両」であることを表現もしています。100年を逆から表し、「00」には「∞(無限)」の可能性の意味も込めています。

「リビングのような」車内と「ゆりかごシート」

平山 車内は、「みんながくつろげるリビングのような特急」「リビングが移動しているような特急」だそうですが……。ちょ、ちょっと待ってください、南田さ~ん。エントランスからゆっくり見学しましょうよ~。

南田 (1号車の運転席を前にして)わぁ、広々していて、黒くてかっこいい! このゆったり感は、上京して最初に住んだ北品川のワンルームマンションより広い(笑)。飛行機のコックピットのような運転席も、かっこいいなぁ。

平山 運転席と客室とを仕切るドアも、全面がガラスだから閉塞感がないですね。

南田 運転席も眺望もよく見えるスペシャルシートは、1号車の「1-C」「1-D」(あるいは、8号車の12-A、12-B)ですね。座ってみていいでしょうか? 

西武鉄道車両部車両課の桑原真理子さん(以下、桑原) どうぞ、どうぞ。

南田 一番の展望席は、1-Cだ。前方の眺望も完璧で運転士さんの運転も見える。1-Cに座れば、運転席も見えるし眺望もいいように設計なさっているんですよね?

桑原 はい。デザインを担った建築家の妹島和世さんが、お客様も前面から眺望を楽しめるように工夫しました。前面ガラスも車体の窓も、安全強度を保ちながら大きくできるギリギリのところまで調整しました。

南田 (座席シートを倒してみて)エッ、何これ、すごいよ、このリクライニング。包み込まれているこの感触は初めて味わう。

平山 黄色い配色や生地感は、ソファみたいです。(座席シートを倒して)身体全部が包まれたままで、ひじかけから一体で倒れる。ゆりかごみたい。

桑原 座席シートの設計はかなりこだわっています。お客様の背丈サイズに合わせて調節できる手動式可動枕と、ひじ掛けにはテーブルを設置しています。パブリックスペースでありながら、それぞれが自分の時間を過ごせるスペースを目指しました。

南田 「公の空間でありながら、マイスペースとして過ごせる空間」。新幹線のビジネスシートもそうですけど、仕事で利用する時は特にありがたい。各座席にコンセントがあり、「FREE Wi-Fi」も導入されていますね。僕としても、定期的な仕事で所沢に行くので本当にうれしい。池袋―所沢間ならば、通常料金の340円に400円プラスすればいいだけというサービス精神もすごい。21分で到着です。

平山 家族旅行をイメージしちゃいます。座席シートを回転して向き合わせるとほら。大きな窓にこのカーテンに……リビングにいるような感覚。シートが低いのも落ち着くし、天井を高く感じます。

南田さんが驚いた、前代未聞の「渡り板」

南田 (隣の車両に移動する途中で)な、なにこれ! 渡り板(車両と車両をつなぐ部分にある板状のもの)が丸くてカワイイ! カメラマンさん、これ撮ってもらえますか。これはすごい。

平山 何に興奮しているんですか?

南田 丸い渡り板なんて見たことないよ。渡り板は四角いもので、あっても滑り止めのゴムが施されている程度。これ以上進化しようがないと思っていたら……。

平山 これに、「渡り板」という名前があることを今知りました(笑)。丸い形状といい、ドットがほどこされたデザインといい、丸みを帯びたラビュー全体のデザインと統一されているわけですね。

桑原 デザイン監修した妹島さんがこだわったのは、「連続性」です。車両一両一両が途切れない一体感。「天井もスピーカーも、エアコンの吹き出し口も、全て連続性で作ることで広がりを演出したい」と常々おっしゃっていました。

平山 連続性ですか。それが丸みであり、車両を区切る自動ドアも全面ガラスなのですね。

南田 ドアがガラスであることで、ドア前のシートに座っても閉塞感がありませんね。

乗務員さんの働きやすさが、利用者の快適に

西武鉄道広報部の木村有加さん(以下、木村) 南田さん、こんにちは!

南田 木村さん、どうもどうも。広報の木村さんは、2008年まで運転士さんをされていたんですよ。

木村 10000系はかつて運転していました。運転士に戻って、ラビューも乗りたいです(笑)。

南田 乗務員さんたちへの配慮を感じる運転席ですよね。ゆったりしていて。

木村 特急は運転時間も長く、運転中もいろんなところに気を配って集中しています。運転席シートの座り心地など、乗務員の環境も大事。そんなスタッフの快適さも、余裕ある心持ちでお客様をお連れするために大切にしています。

南田 乗務員さんの働きやすさが、最終的にはお客様への豊かなサービスにつながるということですよね! 働く人の働きやすさこそ、お客様第一優先につながるという視点がすばらしいです。まさに、未来に向かう鉄道ですね。

◇  ◇  ◇

「工夫がいっぱいで驚きの連続だった!」と、取材後も大興奮する南田さん。気づいただけでもたくさんあったラビューの快適さへのこだわり。その中でも、南田さんがうなったサービスに、「シート予約の際のシートマップに、きちんと柱が書かれてあること」もありました。

ネットで座席を予約する際に、鉄道好きにとって柱の位置は重要な情報です。柱と窓の位置で、眺望も着席時の閉塞感も変わるためです。ただ現状は、鉄道に詳しい南田さんでも「各社や車両によっても違うから、(柱の位置は)乗ってみないと分からない」そう。それが西武線の特急の場合はチケット購入時のシートマップに表示されるのは、とても細やかな配慮です。

「西武鉄道の覚悟を感じた」という視点も。18年度から19年度末にかけて、西武池袋線・西武秩父線のニューレッドアローすべての車両をラビューに更新します。通常は予算の関係などで1年に1編成ずつなど少しずつ置き換えていくところを、約1年で一気に変えるのは「予算面での覚悟」といえます。

現行の特急列車・ニューレッドアローが新造されたのは25年前。「今年度から来年度にかけて、10000系と001系の新旧交代劇が目の前で見られる。四半世紀に一度の出来事ですよ!」。そう熱くなる南田さんでした。

南田裕介(みなみだ・ゆうすけ)
 芸能事務所に勤務するマネージャー。1974年生まれ、奈良県出身。静岡大学卒業後、ホリプロ入社。現場マネージャーとして働くうちに「鉄オタ」だと知れ渡り、「タモリ倶楽部」へ出演。鉄道BIG4としてお笑いタレントと肩を並べ「アメトーーク!」に出演するなど、ホリプロのマネージャーとしてタレントをプロデュースする傍ら、鉄道愛あふれる専門家として活躍している。著書に「ホリプロ南田の鉄道たずねて三千里」(主婦と生活社)など。

平山ゆりの(ひらやま・ゆりの)
 ライター。1981年生まれ、京都府出身。エンタメ、教育の分野で主に活動。息子の影響で鉄道に魅せられ、休日は都内近郊で「乗り鉄」を楽しむ。「国鉄型」を愛する南田に対し、新型車両や特急型車両が好き。

(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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