1990年代から2010年代前半まで首位は洛南

まず、1990年代前半、2000年代前半、2010年代前半の5年平均の合格者数ランキングを見てみよう。

首位は一貫して、京大のお膝元にある洛南。1学年の人数が450人を超える大規模私立中高一貫校である。約1200年前に弘法大師・空海が興した私立学校「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」にまでその歴史を遡ることができる。2000年前半までは同じく京大のお膝元にある洛星が次につけていた。こちらはカトリックの学校だ。

2010年代になると2位、3位を奈良勢が占めた。西大和学園東大寺学園である。数年前、人口当たりの東大・京大の総合格者数で47都道府県をランキングするというテレビ企画があったが、その首位が奈良県だった。西大和学園と東大寺学園は京大にも東大にもバランス良く合格者数を出しているのが特徴だ。その2校だけで、たとえば首都圏の千葉県の全高校を上回る東大・京大合格者数を稼いでいるのである。それでいて奈良県の人口は約135万人と千葉県の4分の1以下なので、人口当たりのランキングでは全国トップになるのだ。両校とも県外からの通学者が多いというからくりもある。

関西の進学校と言えば筆頭にあげられるのはだが、東大志向が強いため(その理由は前回記事で記述)、京大のランキングではさほど上位には来ない。代わりに上位常連なのが、灘と同じく兵庫県の甲陽学院だ。灘も甲陽学院も、酒造会社がスポンサーになってつくられた学校だ。灘が「菊正宗」と「白鶴」「櫻正宗」、甲陽学院が「白鹿」だ。自由かつ合理的な商人文化が両校の根底にある。

2010年代前半のランキングでいきなりトップ10に躍り出ているのが京都市立堀川だ。1999年に「探究科」という専門学科を設けるなどの学校改革を断行した。探究科1期生を含む卒業生約240人のうち106人が国公立大学に合格。前年6人からの大躍進で「堀川の奇跡」と呼ばれた。

いまでこそ一般的に認知されている探究学習の先駆けであり、その成果が表れたのだととらえられるが、同時にこんな仕組みもある。堀川の探究科は専門学科で、学区に関係なく京都府全域の中学校から優秀な生徒を集めることができたのだ。以後、学区の拡大は公立高校復活の切り札として全国で利用されるようになる。

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公立高校が大躍進。私立は医学部志向へシフト