日経Gooday

誰だって運動する前は嫌なもの

筋トレが好きになるためには、正しい目標設定をすること以外にもポイントがあります。

相談者の方は以前、筋トレしたときに、「気持ちよかった」「スッキリした」という感覚を味わっています。実は、この感覚こそが大切なのです。

運動を始める前は、ほとんどの人が「面倒だな」「嫌だな」と感じるものです。私は帰宅後のランニングが習慣ですが、トレーナーの私でさえ、疲れて帰った日は「あ~、今日は走りたくないなあ」と思います(笑)。

でも走り終わった後は、必ず「あ~、気持ちよかった」「やってよかった!」となります。ですから、筋トレをする前に憂鬱な気持ちになったら、やり終わった後の爽快感を思い出してください。

また、相談者の方は、学生時代に部活動で筋トレをやって、それ以来、ネガティブなイメージがついてしまっていますね。それも、筋トレが嫌いな原因になっているようです。

実は、筋トレにハマっている人のなかには、学生時代は部活動で筋トレをやっていなかった、という人も多いのです。むしろ運動が苦手だった、という人も少なくありません。

過去に部活動の筋トレで嫌な思いをしなかった分、先入観がないまま筋トレを始めることができたのでしょう。しかも、真面目に取り組めば結果がついてくるので、運動が苦手だった人でも、自分のカラダが変わっていく達成感を覚え、筋トレにハマっていくのです。

昔に植え付けられた「嫌なもの」という認識は、新たな体験によって書き換えられます。ぜひ、部活動の苦い経験は一度脇に置いて、自分のための筋トレにトライしてみてください。

これは筋トレだけに限った話ではありません。ランニングや水泳といった有酸素運動や、バスケットボールやサッカーなどのチームスポーツ、あるいはサーフィンや登山でも、「苦手だな。嫌だな」と思う運動でも、先入観を捨て、正しい目標設定で取り組めば、楽しくハマれるのです。

【中野さんからのアドバイス】
筋トレの苦手意識を克服するなら…

▼筋トレで達成感が得られるようになれば好きになる
▼トレーニングの目標は達成の可能性が50%になるよう設定
▼目標を楽々できるようになったらさらに負荷を上げる
▼トレーニング前は誰でも憂鬱なもの。終わった後の爽快感を思い出して!

(まとめ:長島恭子=ライター)

[日経Gooday2020年6月17日付記事を再構成]

中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんなど、多くのアスリートから絶大な支持を得る。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

「日経Gooday 30+」の記事一覧はこちら

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。