少量の血液でがんを早期発見 ママ・パパの命を守る

日経DUAL

2020/6/11
健診を積極的に受けて予防をしよう(写真はイメージ=PIXTA)
健診を積極的に受けて予防をしよう(写真はイメージ=PIXTA)
日経DUAL

子どもの健康は気になるけれど、自分の健康は二の次になっているというママ・パパは多いのではないでしょうか。40歳前後で出産した場合、子どもが10歳になる頃に、親はがんにかかりやすい「がん年齢」に突入します。胃がんなど防げるがんは予防策を取ること。また、がんでも切除できる時期に見つけて治療(手術)を受けることが重要です。「胃がんの予防法」と「がんを治癒可能な早期に見つけるための最新血液検査」について、ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二さんに聞きました。

「ノーピロリ、ノー胃がん」 胃がんの原因はピロリ菌

「予防できるがんの代表が胃がんです」と久住さんは言います。本当に胃がんは防げるのでしょうか。

「ヘリコバクター・ピロリ菌(通称:ピロリ菌)という名前を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。胃がんの原因はほぼすべてがピロリ菌感染によるもので、胃にピロリ菌がいなければ胃がんになるリスクはほとんどありません。疫学調査で10年間の胃がん発生率を調べたところ、ピロリ菌に感染していない人は、0%でした。一方ピロリ菌の感染者では、およそ3%の人が胃がんを発症していました。これは、30年間で考えると、ピロリ菌感染者のおよそ10%の人が胃がんを発病することになります」

ではどうしてピロリ菌が胃にいると、胃がんになるのでしょうか。

「発症プロセス(機序)は以下のように考えられています。胃の粘膜にピロリ菌が感染すると炎症が起きて、次第に胃の表面にある胃底腺という、胃酸を作る組織が減ります(萎縮性胃炎という状態になります)。炎症が長く続くと、次第にがん化する細胞が現れます。ピロリ菌がいなければ、萎縮性胃炎になることもありませんし、胃がんを発症することもありません。もしピロリ菌に感染している場合は、除菌することが胃がんを防ぐために重要なのです」

欧米やアフリカなどにもピロリ菌感染者はいますが、どうして日本で胃がんの発症率が高いのでしょうか。

「ピロリ菌にもさまざまなタイプがあり、日本や中国、朝鮮半島など、東アジア地区にいる“東アジア株”と呼ばれるピロリ菌は、欧米の菌と異なり胃がんになりやすいとされています」。欧米のタイプのピロリ菌と比べて、胃の粘膜に感染して胃がんを引き起こすリスクを上げやすいのです。「ピロリ菌は免疫の働きが不十分な5歳くらいまでに感染すると、胃の中にすみ着き、そのまま感染した状態が続き、やがて慢性的な炎症を生じさせることが分かっています。そのため、5歳くらいまで日本を含む東アジア地域で育った人は、ピロリ菌の有無を一度調べたほうがいいと考えられます」

ピロリ菌の感染は箸やスプーンの共有など親子間で生じる

ピロリ菌の有無は、いつごろ調べるのがいいのでしょうか。「検査を受けることを考えたほうがいい時期は、2つあります。1つめは、子どもを持つ前です。ピロリ菌の感染は、主に親子間で生じることが分かっています。現代は、子どもにそしゃくしたものを与えることはしないと思いますが、それでも箸やスプーンを共有したり、子どもとキスをしたりする機会をゼロにすることは不可能なため、親や祖父母が保菌者である場合、子どもへの感染を完全に予防することはできません」

「2つめは、20~40代のできるだけ早いうちです。この年代になると、慢性胃炎や萎縮性胃炎を患っている方は多いかもしれませんが、ピロリ菌の除菌を行うと、炎症が止まり、萎縮が改善することが分かっています。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を持っている人がピロリ菌の除菌を行った場合、胃がんの発生を3分の1程度にまで低減できることも分かっています。つまり、たとえピロリ菌に感染していたとしても、1年でも早くピロリ菌を除菌することで、胃がん発症のリスクを低くすることができるのです」

自治体(神奈川県横須賀市など)によっては10代で検査を行っているところもあります。少しでも早く検査を受けたいですね。では、どのような検査が行われるのでしょうか。

注目記事
次のページ
ごく少量の血液で高精度にがんの有無を判定
今こそ始める学び特集