現地で歌えないもどかしさ、改めて痛感した歌の原点・役割

今後はできる形でコンサートをドンドンやってゆくつもりだという

――東日本大震災(2011年3月11日)が起きた時も歌手として積極的に行動しましたね。

「東日本大震災の時には被災地に赴き、人々を励ますために『今どこにいますか』という曲を作って、現地で歌うことができました。ところがコロナ禍の場合、現場に出向いて相手に直接歌いかけることができないもどかしさや難しさがある。だから歌手として何をしたらいいのか悩みました。コロナに感染した志村けんさんは入院した後も親族らと会えず、やっと対面できたのは火葬されて骨になった後だったと知り、大きなショックを受けました。55年間の私の歌手人生を通じてコロナ禍が大変な惨事なのは間違いありません。でも生きるために人は歌を歌うもの。歌は誰からも決して奪うことはできません。そんな歌の原点と歌の役割の大きさを改めて痛感しています」

「日本ではコロナウイルスに感染すると社会からバッシングを受け、差別され、まるで罪を犯したような仕打ちを受けがちですが、それは良くないことだし、とてもおかしなことだと思います。社会全体が少し萎縮しすぎているのではないでしょうか。たとえビジネスにならなくても、世の中から歌がなくなることはない。そんな覚悟で私は最後まで走り続けるつもりです」

(聞き手は編集委員 小林明)