会場となるオーチャードホールの定員は2150人。ちょうどこの基準内に収まります。たとえ無観客でもいいからコンサートを開催したいと思っていたので、まさに『天からやりなさい』と言われているような気がしました」

「歌は誰からも決して奪うことはできない」と説く

「もちろん感染拡大の状況次第ではこの見通しが変わり、計画の変更を強いられるリスクもゼロではありません。でもコンサートを開催できる可能性がある以上、何もしないのは良くない。愚痴を言っている場合ではありません。認められた範囲内でルールを守り、最善を尽くすだけ。今後はできる形でコンサートをドンドンやってゆくつもりです」

チケット販売・オンライン配信・企業協賛……、収益は3方式で

――具体的にどんなコロナ対策を取り入れるのですか。

「座席は1つずつ開けて、1列ごとに互い違いの鹿の子状になるように工夫します。入り口に検温器を置き、観客にマスク着用をお願いし、手をアルコール消毒してもらいます。ブロックごとに移動する人数や時間を制限し、トイレの前などで行列する際は間隔を空け、密集するのをできるだけ避けるようにします。過剰な自粛ムードがいつまでも続くのは健全な状態とは言えません。誰かが先陣を切らないといけないのならば、私が勇気を持って足を一歩前へ踏み出したいですね」

――観客を収容定員の半分以下に減らしても採算は取れますか。

「たしかにチケット販売だけでは難しい。だからチケット販売に加えて、オンライン配信、企業協賛の3方式を収益源とします。収益の半分をチケット販売、残りの半分をオンライン配信と企業協賛で賄う予定です。オンライン配信は公演が終わった後でもコンサートの様子を視聴できるし、都道府県をまたぐような移動がしにくい時にも有効ですから。企業協賛はすでに5社程度が内定しています。観客の多くは年齢が高いので難しい状況ではありますが、これからのコンサートの1つのビジネスモデルにできたらと期待しています」

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現地で歌えないもどかしさ、改めて痛感した歌の原点・