まるで食べる宝石 世界中で愛される「塩の花」の魅力魅惑のソルトワールド(42)

塩の花は料理に添えられることも多い
塩の花は料理に添えられることも多い

「Fleur de sel(フルール・ド・セル)」という言葉を聞いたことがあるだろうか? フランス語で「塩の花」という意味。「フルール・ド・セル」はそのまま商品名になったり、説明書きに記されていたり、近年ではチョコレート菓子に「フルール・ド・セル使用」と謳(うた)ったりしているものもある。見聞きしたことがあるという方も多いのではないだろうか。では、塩の花とは果たして何か。

塩の花は海水を濃縮させて、最初に海水表面にできた結晶をいう

塩は海水を何らかの方法で濃縮させて作る。ある濃度を超えると結晶化し、それを塩として使う。塩の花とは、濃縮した海水が結晶化を始める時に、最初に海水の表面に出来上がる結晶をさす。最初は小さな点でしかない塩の結晶が、徐々に大きく成長していく様が、花の開花のようであることから、その名がついたらしい。

比較的低い温度で海水を熱し続けたり、天日塩田の場合は、表面張力と重力により結晶が横に広く成長する。その結果、板(フレーク)状の塩や、中が空洞の美しいピラミッド型の塩の花ができる。非常に繊細でもろい結晶なので、雑に収穫すると結晶の形が壊れてしまう。丁寧に注意を払って採取する必要があるわけだ。

時には、少し粒が大きめな立方体に成長する場合もあるが、塩の花は最初に表面に結晶したものだけが対象となるため、生産量は全体の2~3%ほどにとどまる。そのため稀少品として扱われてきた。

塩の花を珍重する国が多いのも興味深い。多少なりとも表現方法は異なるが、どの国にも「塩の花」を表す言葉が存在する。

▼各国の「塩の花」の呼び名

フランス Fleur de sel(フルール・ド・セル)

イタリア Fiore di sale(フィオール・ディ・サーレ)

スペイン Flor de sal(フロール・デ・サル)

中国  花(ホワーイエン)

※時に「塩の真珠」と呼ばれることもあり、フランスでは「Perles de sel(ペルル・ド・セル)」の呼称も。

塩の花は、地中で大きな1つの塊として結晶する岩塩では形成されず、海水塩をメーンとする国でしかとれない。もちろん、日本でも珍重されており、「塩の花」のほかに「一番塩」「一番釜」などと呼ばれることもある。