答えと解説

正解は、(3)家族で遺伝する傾向がある、です。

橋本病は、生命維持に欠かせないホルモンの1つ、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。甲状腺機能に異常をきたす病気の中で最も多い病気で、全人口の約3~5%の割合で発生するといわれます。

「橋本病は、何らかの理由で自分の体の組織を異物とみなして攻撃する抗体(自己抗体)ができる、自己免疫疾患の1つです。甲状腺に炎症を引き起こす自己抗体ができるために、甲状腺が慢性的な炎症を起こして腫れるようになり、正常な組織が少なくなり、甲状腺機能が下がります。そのため、橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれます」。三井記念病院内分泌内科科長の森典子氏はそう解説します。

健康診断の触診で首の腫れを指摘されて見つかるケースが多く、確定診断には、触診のほか、血液検査や超音波検査が用いられます。血液検査で甲状腺に対する自己抗体が陽性となり、触診で甲状腺の腫れ、または超音波検査で甲状腺の炎症が確認されると、橋本病と診断されます。

橋本病は、甲状腺機能の低下をきたす病気の1つですが、実際に甲状腺機能が低下する人は4~5割にとどまります。「橋本病と診断されても、甲状腺機能が正常範囲であれば薬を使わず、半年か1年ごとに甲状腺機能検査を受けて様子を見ていきます」(森氏)。治療を行う場合は、レボチロキシン(商品名チラーヂンほか)という飲み薬で、不足する甲状腺ホルモンを補います。

30~50歳の女性に多く、更年期障害と間違われやすい

橋本病の男女比は1:10~20程度と、圧倒的に女性に多く、中でも30~50歳の女性が多いのが特徴です。遺伝が関係する傾向もあります。女性に多い理由は分かっていません。「甲状腺機能が低下してくると、寒がりになる、倦怠感、肌の乾燥、便秘、太るなどの全身症状が現れます(表1)。これらの症状は、更年期を境に現れるサインとよく似ており、更年期障害を疑って、橋本病の発見が遅れやすいのが問題です。ただし、多くの症状は共通しますが、橋本病でホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)を起こすことはまずないと言っていいでしょう」(森氏)。ホットフラッシュの有無が、両者を見分けるポイントの1つと言えそうです。

表1 橋本病で見られる主な症状

橋本病に気づくには、血液検査で甲状腺機能を調べるのが一番ですが、通常、自治体などの健康診断では項目に含まれていません。「橋本病には遺伝が関与するため、母親や叔母など、近親者で甲状腺の病気になった人がいれば、30~40代のうちにオプションで検査を追加することをお勧めします。(甲状腺機能が低下すると不妊や流産をしやすくなるので)妊娠を希望する人も、早めに検査を受けてほしいと思います」と森氏は呼びかけています。

[日経Gooday2020年4月20日付記事を再構成]

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