ミニ財布オススメ3選 小銭もカードもすっきり収納
特集 キャッシュレス時代のミニ財布(上)
電子マネーの普及や、ビジネスリュックを用いる人が増えたことで、財布の昨今のトレンドは「ミニ財布」に。パンツのポケットに入れても邪魔になりにくいコンパクトな財布に注目が集まっている。そこで今回は、種類別に3回に分けて紹介する。
第1回は、札を折りたたまずに入れられ、小銭とカード収納スペースも備えたオールインワンのミニ財布を取り上げる。通常サイズの二つ折り財布と同じように使えるので、小さくともメイン財布として活躍するはず。
サメ革とコインポケットが個性的
さまざまな形状や革を使ったミニ財布を展開しているガンゾ。今回紹介する財布は、サメ革を採用したKESEMA(ケセマ)シリーズの極薄設計の二つ折り財布だ。
素材には、宮城県の気仙沼港で水揚げされたヨシキリザメの革を使用。震災後、長野のタンナーが「復興を後押ししたい」との想いから、なめし技術を継承し、長年の試行錯誤の末、ようやく財布として製品化したという新シリーズ。これまで捨てられていたサメ革を活用し、革のなめしから縫製まで全工程を日本で行っている。
刃のついていない専用の包丁を使い、なめしの段階で鱗(うろこ)を一枚一枚手作業で落とす「脱鱗(だつりん)」を行うことで、ザラッとした手触りのサメの表皮を滑らかに。ヨシキリザメ特有のシボを際立たせつつ、手に馴染むような質感に仕上げている。
サメ革は水に強いのはもちろん、皮脂や汗にも強いため、財布の素材として最適だという。さらに植物タンニンなめしのため、使い込むほどに味わいを増していくという。
コイン収納スペースの構造も特徴的だ。フタのついた外付けのポケットではなく、のぞき込みタイプのコインポケットで、厚みを抑えた設計となっている。財布はホック付きでしっかり閉じるため、ジャケットの内ポケットやパンツの後ろポケットに入れても邪魔になりにくい。
そのほか札を折りたたまず入れられて、カードポケットも内外に3つ搭載している。外装のカードポケットは、チャージなどで取り出すことの多い交通系ICカードを収納するのに最適だ。
「革製品が好きな幅広い年齢層から支持されており、2020年2月の発売スタート時から売り上げは好調に推移している」(ガンゾ本店 スタッフ渡部優希氏)。サメ革のミニ財布は汗水に強いため、「雨でも気にせず使える」「汗ばむ夏にパンツの後ろポケットに入れても安心」といった声がユーザーから届いているという。
マネークリップ仕様の二つ折り
バッグブランドとして高い人気を誇るアッソブは、財布などの小物類も充実している。そんな同ブランドの財布の注目モデルは、マネークリップ仕様の二つ折り財布だ。
外装に大容量のコインポケットを搭載した、使い勝手のよい薄型の二つ折りモデル。財布を開くと十分なカードポケットと、札を挟むマネークリップが現れる。コンパクト設計ながら収納力に優れたオールインワンタイプのため、メイン財布として活躍する。
「ミニ財布をお求めになる方はお札をあまり持ち歩かないため、マネークリップで十分という声を聞く」と話すのは、アッソブを展開するアンバイのプレス齋藤親子氏。マネークリップを採用することで薄型を実現、そのぶんカード収納を充実させてキャッシュレス時代に対応する財布となっている。
素材には、時間をかけて革の芯までタンニンを浸透させた植物タンニンレザーを使用。職人の手作業によるオイルの塗り込みやグレージング、アイロンがけを重ねることで、深みのある風合いに仕上げている。手作業による自然なムラ感があり、エイジングにも期待できる。
齋藤氏によれば、2019年のクリスマス需要からミニ財布の売り上げが伸びているという。特にこの財布は、ほとんどの人が珍しいマネークリップ部分を気に入って購入するそうだ。
汎用性の高いオールインワン財布
土屋鞄製造所の注目のミニ財布は、メイン財布として使えるオールインワンの機能を保ちつつ、コンパクトに設計した二つ折り財布だ。
お金やカードを入れると膨らみやすい二つ折り財布を、ホック付きのフラップでしっかりホールドすることで、スマートな薄さをキープ。パンツの後ろポケットなどに入れて持ち歩けるように作られている。
ボタン付きのフラップを開くと、アシンメトリーデザインの札入れが現れる。また、札入れはL字型に開く形状になっており、紙幣の出し入れをスムーズに行える点も特徴。
カードホルダーは片面に3枚分用意され、使用頻度の高いカードを厳選して収納できる。中央のコインケースはマチを抑えて膨らみにくい設計としている。
この黒く染めたヌメ革を使用した「ブラックヌメ」シリーズは、調和をテーマにデザインされており、やや堅いイメージを持つ黒と、親しみやすく素朴な雰囲気のヌメ革を組み合わせ、柔らかくも引き締まった印象に仕上げている。デザインにおいても、角と丸を調和させることで、奥行きのある表情を生み出した。
「19年12月に発売して以来、毎月再販をしている人気商品」(土屋鞄製造所のKABAN販促企画課広報担当 守内晶子氏)。シンプルなデザインと使いやすい機能を備え、汎用性が高いことから、30~40代男性を中心に支持されているという。
(ライター 津田昌宏、写真 宮前一喜=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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