色気あるクラシックは記憶に残す染(ソメ)が肝(キモ)
本格派の靴と鞄で隙のない誠実な装いを築く一方で、時には、成熟した男の余裕や“色気”を相手の印象に残したい。深い奥行きと美しさを堪能できる“染め色”レザーなら、その絵画的グラデーションで品性を損なわずに洒落心を仄めかせる。

上:■BERLUTI(ベルルッティ)
官能的な色と装飾文字が感性を揺さぶる
一目で記憶に残るレザーがあるとすれば、ベルルッティを挙げないわけにはいかない。ヴェネチアレザーに、数十種類の色を何度も手仕事で重ねるパティーヌは、唯一無二の風合いを楽しめる。また、18世紀頃のカリグラフィーをモチーフとしたスクリットとも相まって、見れば見るほどその魅力に引き寄せられていく。縦28×横39×マチ7cm。 40万5000円(ベルルッティ・インフォメーション・デスク)
下:■JOHN LOBB(ジョンロブ)
吸い込まれる程に美しいミュージアムカーフ
ラスト8000番のセミスクエアトウの名作「チャペル」。踵を高く、ウエストを絞り込みながら一枚革で成型するという、他では真似のできない作りが存在感を放つ。緩いスクエアトウからアッパーにかけての美曲線と、何層にも渡って染め上げられたミュージアムカーフの奥深いマーブル模様が、神秘的な感覚すら感じさせる。 25万円(ジョン ロブ ジャパン)
コンサバ服にこそ一挿ししたい“モダン映えブランド”を知る
クラス感があるだけでなく、フォルムや素材、ディテールにさりげなくツイストが効いている……。コンサバな装いに“今”の気分を付加したいなら、ここで紹介する4ブランドは絶好の存在だ。

01. ■FURLA(フルラ)
大容量の総革トートにもかかわらず、切りっ放しのコバや丸みを帯びた形状、グレーのシボ革によりどこか軽やかで優美な佇まいに。ハンドル長を変更でき、内にはジップ付きカンガルーポケツトを装備と実用性も高い。縦35×横48×マチ17cm。 7万円(フルラ ジャパン)
02. ■SANTONI(サントーニ)
官能的なラインを描くロングノーズ木型と、粋なサイドレースのデザインを組み合わせたモデル。履き口部分のクロコの切り替えも洒脱な雰囲気を高めている。クラス感を保ちつつ、上手に大人の遊びを表現したい日にうってつけの一足だろう。 16万8000円(リエート)
03. ■CALMANTHOLOGY(カルマンソロジー)
量感がありながら野暮に見えず、むしろ都会的な色気が漂う。木型の巧さはもちろん、紐先のタッセルや段差を付けたコバ、シボ革で切り替えた羽根周りなど独特のディテールが効いているから。なんとも時代感あるウィングチップだ。 9万8000円(カルマンソロジー)
04. ■SERAPIAN(セラピアン)
優美なフォルムと極上のシボ革が、コンサバな装いを新鮮に彩るボストン。もちろん今どきのスポーティなビズスタイルをリッチに格上げするポイントにも。ショルダーストラップも装備。縦32×横50×マチ19cm。 18万6000円(リシュモンジャパン セラピアン)
※表示価格は税抜きです。
写真=若林武志、武蔵俊介、伏見早織 スタイリング=武内雅英(CODE) ヘアメイク=古口精樹 文=伊澤一臣、吉田 巌(十万馬力)、安岡将文
[MEN’S EX 2020年4月号の記事を再構成]
SUITS OF THE YEAR 2020
新型コロナウイルスの影響で、2020年は初のフルCGで作成した会場でのバーチャル授賞式。
時代の節目に挑み、大切なメッセージを放つ5人を表彰した。