基本にして究極のスーツ ストロング・べーシックとは

MEN’S EX

2020/5/26
MEN'S EX

流行を追うのではなく、まずは良いものを情熱を持って選ぶこと……。長く愛せる、基本にして究極の一着。本誌はそれを「ストロング・ベーシック」と称して、今一度、読者諸兄に理解頂くべく、ここに解説する。




たとえばトム フォードの「オコナー」。英国スタイルをベースにほのかにイタリア的な官能性も感じさせるこの細身モデルは、着丈など幾度か微修正したものの、ストイックな男の色気が薫る佇まいは誕生以来微塵も揺るがない。デザイナー、トム・フォード氏の美意識とセンス、そしてブランドの高い仕立て技術を凝縮した、まさしく基本にして究極の一着だ。「ストロング・ベーシック」の存在を深く理解して欲しい。それこそエレガンスの入り口なのである。

ダニエル・クレイグが主演の、映画007としては3作目『スカイフォール』(2012年公開)用に製作。トム・フォード自身が出来をいたく気に入り、以後着丈などを若干修正して「トム フォード」ブランドでも展開することになった名作だ。

TOM FORD(トム フォード)
[オコナー]

細身ながらも、胸周りが大きく、ウエストがキュッと絞り込まれた逆三角形の男性的シルエットがしっかり築けるブランドの定番スーツ。 49万円(トム フォード ジャパン)

シャツ6万円、タイ3万円、チーフ2万2000円/以上トム フォード(トム フォード ジャパン) 時計25万円、ストラップ5万円/トム フォード タイムピース(トム フォード タイムピース)

【 解説 】ブリティッシュSTYLEを薫らせながらイタリアンMIXされている

クラシックなジャケットの袖口ボタンは4つ、もしくは3つが基本だが、オコナーは5つのボタンを重ねづけしている。このちょっとした捻りも、オリジナリティを演出するポイントとなっている。

肩には比較的しっかりしたパッドを仕込み、肩先もわずかにコンケーブしている。ブリティッシュスーツの伝統を踏襲したこうした構築的な仕立てが、マスキュリンなイメージを強調している。

ジャケットの着丈に比してサイドベンツの切れ込みはかなり深めだ。ちょっとした動きで後ろ裾がたなびき、躍動的な男を印象付ける。高めの位置でシェイプさせたウエストとの相性も最高である。

このモデルでは下襟が剣先のように鋭く突き出したピークトラペルを採用。モダンな細幅ラペルに、華やぎを添えている。深めのVゾーンや、大きく湾曲した胸ポケットもオコナーの特徴だ。

背中から見るとウエストが強く絞り込まれた曲線ラインが一層よくわかる。メリハリの効いたこの砂時計型のシルエットが、男の肉体をよりグラマラスに官能的に演出する。高度な仕立て技術のなせる技だ。

英国イメージを高めるチェンジポケットを装着。よく見るとオコナーのポケットのフラップは面積が大きく、端を丸くカットした独特のデザイン。このさりげない意匠性も服好きの心をくすぐる。

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