タイムリミット・妊娠率… 卵子凍結で大切なこと

日経doors

2020/3/12
「卵子凍結」に関心を寄せる女性が増えている(写真はイメージ=PIXTA)
「卵子凍結」に関心を寄せる女性が増えている(写真はイメージ=PIXTA)
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働く独身女性の間で、将来の妊娠・出産に備えた「卵子凍結」が話題になっている。キャリア構築を優先するための方法として関心を持つ女性が増えているのが背景。1983年、東北大学医学部産科学婦人科学教室のチームの一員として日本初の体外受精による妊娠出産に成功した経歴を持ち、現在、働くカップルの不妊治療にも携わる京野アートクリニック高輪の京野廣一理事長に、未婚女性の卵子凍結について伺った。

日経doors読者アンケートによると、「卵子凍結に興味がある」と答えた人は回答者の66.7%、「卵子凍結をしたい」と答えた人は59.1%だった(2019年11月20日時点)。

卵子凍結に関心が高まる一方、必要な情報はまだ浸透していないようだ。日本生殖医学会の「社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン」には、「卵子凍結の施術は40歳未満まで、凍結保存した未受精卵子の利用は45歳未満まで」というタイムリミットが明記されている。これについて同アンケートによると、回答者の69.7%が「知らなかった」と答えている。このタイムリミットの背景には、どのような事情があるのだろうか。

「40歳以上の女性の卵子凍結が推奨されていないのは、2012年、NHK『クローズアップ現代』で卵子の老化が取り上げられたことで話題になった通り、卵子が老化し、妊娠率が急激に低下していくからです。ここでいう卵子の老化とは、『卵子の数の減少』と『質の低下』を指します。そして、凍結卵子の利用にタイムリミットが決められている背景には、40代後半の女性が妊娠した場合、産科合併症を発症する率が上がるという危険性があるからです」

この産科合併症とは何か。妊娠中と分娩(ぶんべん)時に分けて詳しく解説してもらった。

妊娠中における代表的な産科合併症は、「妊娠性高血圧症」、いわゆる妊娠中毒症である。この症状になった場合、緊急帝王切開で赤ちゃんを母体の外に出してあげなければならなくなる。「妊娠24週目などの早産になると500~600グラムの低体重の未熟児が生まれることになり、その子どもが未熟児網膜症などのハンディーキャップを背負うリスクにつながります」

では、分娩時はどうだろうか。

40歳を超えて元気な人こそが危ない

妊婦が高齢の場合、分娩時の出血量が増える可能性がある。血管や筋肉が加齢のために弱まり、分娩時の出血が止まりにくく、止血のために子宮を全摘する場合もある。また、胎盤が早期はく離した場合、赤ちゃんが生まれてくるより先に胎盤が先にはがれ、結果、赤ちゃんが亡くなることもある。

前置胎盤の可能性も上がる。これは通常、子宮の上側に形成される胎盤が、赤ちゃんの出口を塞ぐような場所に形成されてしまうケースだ。この場合、赤ちゃんを帝王切開で出す必要がある。このとき、胎盤が子宮に癒着してしまっていると、出産による大量出血で母体が危険にさらされる可能性がある。

「現在、40歳を超えてもなお、外見は若々しくはつらつとしている人が増えています。しかし、体は年齢相応に衰えている。このように見た目とのギャップがあるため、本人や周りは高齢出産のリスクを自覚しづらいかもしれません。でも、冷静に現実を直視する必要があります」

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卵子1個当たりの妊娠率は4.5~13%