ESも自己分析もいらない? 何みるか採用担当の本音第2回・企業の採用担当覆面座談会(下)

2020/3/2

――ESや履歴書には学歴を書きますが、学歴ってどのぐらい関係ありますか。

Aさん 結果的には関係していると思います。大学で学生を絞り込むことはしていませんが、(学力などをみる)テストはしているので、そこでは偏りが出るということです。

Cさん 相関関係はあると思います。自分や社会の「ありたい姿」を話してくれる学生は我々にとっても魅力的なのですが、そういうことを考えさせる教育に取り組む学校は、偏差値レベルも高い傾向があります。起業家や投資家など、すごい先輩に会えたり、将来像をアウトプットしたりする機会に恵まれているということですね。

――学校の名前は見ますか。

Aさん うちは見ます。選考ってその人のプロファイリング(人物像の推理・分析)だなと思っていて。名門高校に通ったのに、いわゆる一流大学に入っていない学生がいるとすると、高校では遊んじゃったのかなとか、大学は自由にやりたいことをやろうと思ったのかなとか、妄想しながら話すことで人柄に近づけることもあるので、重要な情報だとは思っています。

メーカー・金融の採用担当3人に安田編集長(右端)が本音を聞いた(2020年1月、東京・大手町)

自己分析と志望理由は結びつけなくていい

――座談会の前半(「どんな学生か面接でわかる? 悩める採用担当の本音」)では、採用したい人物の要件を用意することに皆さん否定的でした。企業側が求める人物像があいまいなら、学生がESに懸命に書き込む自己分析はあまり意味がないし、必要ないのでは。

Cさん 自分を理解しようと努める自己分析は必要と思いますけど、ESに書くためだけの自己分析なら、いらないと思います。今の就活でなされているのは、過去の経験の理由づけ作業であることが多い。大きな選択とか挫折を分析するものもありますが、そこに人柄が出るのかどうか疑問です。むしろ仲間で乾杯するときの飲み物に何を頼むかといったささいな日常にその人らしさが出る。後付けの理由を、あたかも真実だと信じ込んでしまう場合が多い。

Aさん 司法試験をめざしている学生は、ESに書くような自己分析はたぶんしない。なんで就活生だけするのかって、僕も正直よくわからない。でも、自分の人間性とかを理解してもらう場に臨むにあたって、考え方を整理するというのはやはり必要なんでしょうね。

――自己分析と志望理由を結びつけるのが難しいと悩む学生が多いようですが、そこは重要ですか。

Aさん 結びつけなくてもいいんです。でも就活生はその作業が好きですよね。少し傲慢な言い方になりますが、僕らなりの視点でどういう人なのかみて、この人ならこんな仕事がいいかなって考えているので、別に説明してもらわなくてもいいって思いますね。その人がPRした点とは違うことを理由に採用するかもしれないので。

Bさん そもそも完璧に自己分析しようと思わなくていい。自分ではわかっていないけど、あなたにはこういう面があるんじゃないのと、こちらから振ることもあります。面接でそういう気付きもフィードバックできたらいいなと思っています。

Cさん 自分のこともわからない、そのことを(自己分析を通じて)わかった方がいい。過去の自分って不思議に満ちている。「なぜかわからないけど、自分はこういうとき、こんな気持ちになる」といった、理由はわからないけど自分の立ち位置はここだと鳥瞰(ちょうかん)する力は、もしかしたら我々が求めている唯一のスキルかもしれない。ビジネスや組織の形態が流動的になっているなかで、自分の立ち位置を確認できる能力は、ますます必要になってくると思います。

面接官も悩める人間(安田編集長)
就活を受験のようにとらえる傾向を感じることがある。内定するかどうかを「受かる」「落ちる」と表現するだけでなく、「就活偏差値の高い(=内定を得るのが難しい)企業に行きたい」と口にし、そのために留学やボランティア活動で実績を積もうとする学生が少なくない。
今回の座談会でみえたのは、企業側の興味が実績ではなく人間性そのものにあること。「ガクチカ」は面接の定番テーマだが、そこで企業側が知りたいのは実績というより、そこににじみ出る人柄や課題への向き合い方だ。偏差値のように数字ではかれるものではない。
だから面接官も採用担当者も、学生と同じように悩んでいる。学力テストの点数で決まる一般入試の合否で、大学側が悩むことはまずないだろう。就活と受験は違うのだ。
悩める互いの立場を理解し、同僚になるかもしれない人間として尊重し合う。それはすでに社会人のふるまいだ。そのことを心がけさえすれば、面接で過度に緊張したり、実績を並べ立てたりする必要はないと思う。

(取材・構成 安田亜紀代、藤原仁美)

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