NHK連続テレビ小説『エール』で窪田正孝が演じるのは、昭和という激動の時代に数々の名曲を生み出した福島出身の作曲家・古山裕一だ。前回「窪田正孝 主役の感覚、30代の今は20代と全然違う」では、その撮影にあたり感じていることや思いを聞いた。今回は2月28日公開の主演映画『初恋』について語ってもらった。

年数を重ねたことで変わる、立場と演技。朝ドラとは別にそれを意識して見てみたい、もう1つの作品が主演映画『初恋』だ。メガホンを取ったのは、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17年)や『ラプラスの魔女』(18年)などで知られる“鬼才”三池崇史。08年のドラマ『ケータイ捜査官7』で、駆け出しだった窪田を主演に選び、「10年後に窪田を選んだ理由が分かる」という言葉を残した人物でもある。それから10年あまりの時間を経て、満を持しての再タッグとなった。
「三池さんの『10年後に分かる』という言葉をずっと頭の片隅に置きながらやってきた部分が、自分の中にはあって。『ジョジョ』などで自分に年齢が近い俳優さんが出ていたら『いや、出してくれよ』と思うこともあったし(笑)。
そんななかで、本当にたまたま『ボクサー役をやりたい』って話をしていたら、1カ月後くらいにマネジャーから『ボクサー役の話をいただきました』って台本を渡されて、その最初に“三池崇史”と書いてあって。何かすごく縁を感じました。10年あまりで得たものをここで少しでも返せたらと思ったし、現場ではもちろん物語を第一にしながらも、どこかで『三池さんを納得させたい』っていう気持ちが強かった気がします」