「大島紬はジャケットに最適」UA重松名誉会長の挑戦ニッポン発ラグジュアリー(1)

2020/2/13
「西洋人よりも日本人の美意識の方が高いと僕は本気で思っています」と話すユナイテッドアローズ名誉会長の重松理さん(東京都港区のユナイテッドアローズ本社)
「西洋人よりも日本人の美意識の方が高いと僕は本気で思っています」と話すユナイテッドアローズ名誉会長の重松理さん(東京都港区のユナイテッドアローズ本社)
「ラグジュアリー」という言葉から連想されるブランドとは。エルメス、シャネル、アルマーニ、ブリオーニ――。それは欧州に集中する。歴史や高度な技術に裏打ちされた最高無比の品質、所有者に夢を与える美しさと心地よさ。そうした条件を備える作り手と創造物が「ラグジュアリーブランド」を公言する。では、日本に同様のブランドを生み出す素地はないのか。そんなことはない。洗練された美意識、精緻なモノづくりの技術、時代を超えて人々を魅了する素材。この国にはあまたの条件がそろう。そして今、まさに「ニッポン発ラグジュアリー」創造への挑戦が始まっている。



セレクトショップけん引でも「何か置き忘れてきた」

東京・銀座にたたずむ小さな店「順理庵(じゅんりあん)」。茶室のような数寄屋造りの店内には、米沢産のシルクを使ったスーツ(18万7000円)や、滋賀で糸染めし浜松で織り上げた綿のシャツ(1万6500円)など、美しく上品な高級素材を使った服や小物が並ぶ。

2016年にこの店を開いたのは日本を代表するセレクトショップ、ユナイテッドアローズの創業者で名誉会長である重松理さんだ。14年に経営の一線から退き、順理庵は個人事業として経営している。

ファッションの世界に身を投じて40年。ビームスの設立に携わり、ユナイテッドアローズを創業し、欧米のファッションと文化を紹介するセレクトショップを日本に根付かせた。ただ、振り返った時にふと「何かを置き忘れてきたな」という思いが胸をよぎったという。ほかならぬ「日本」だった。「伝統的な日本文化を、新鮮な日本文化として店頭によみがえらせる。そういう仕事をしておかなければ、と思ったんです」

数寄屋造りの茶室のような店。順理庵銀座本店には重松さんの思いが詰まっている(東京都中央区)

経営から退く3年前。取締役会長として「日本の良質なモノを深掘りし、開発しよう」と社内に号令をかけた。自身の最後の仕事と位置付けた直轄プロジェクト。欧米の商品が紹介し尽くされたなか、視点を変え、業界で一歩先んじようとの意欲を秘めていた。だが、その思いはなかなか浸透しなかった。「国内製品はある程度質が良く、買いやすいものであってこそ。日本の高級品はマーケットに出しにくい」。そんな声が社内からあがった。いまだに日本の消費者には欧米デザイナーへの信仰が根強い。たとえ品質とデザインの優れたメード・イン・ジャパンの製品であっても、ラグジュアリーな高級品という位置付けではビジネスベースに乗りにくい。そんな論理だった。

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