ローンでの購入も増えている
モデル3が従来のテスラ車と異なる最大のポイントは価格だろう。スタンダードレンジプラスが税込み511万円、ロングレンジが655万2000円、パフォーマンスが717万3000円。これまでのテスラ車のエントリープライスは1035万円(モデルSロングレンジ)。それが511万円といきなり半額に下がったのだ。500万円という価格帯は他の輸入車はもちろん、国産高級車と同じ土俵に上がったことを意味する。
実際、テスラ・ジャパンによると、購入者もこれまでとは大きく変化しているという。
これまでのテスラを購入していた人は、会社経営者や医師、弁護士など富裕層が中心だった。彼らは東京都内でも港区、中央区、世田谷区に住み、クルマも複数台所有している人がほとんど。購入にあたっては社用車として購入する人や、全額を一括で支払うケースが多かったそうだ。
一方、モデル3の購入者は会社員が一気に増えた。住んでいる場所も東京近郊から関東全域にまで広がり、ローン利用者も増えている。彼らはモデル3をメインの自家用車として利用しているという。
マンション居住者は事前に充電設備を確認
複数のクルマを持つのではなく、モデル3だけですべてを済まそうと思った場合、やはり気になるのが充電環境だろう。ガソリン車を給油するような感覚で、テスラを充電することができるのか。
テスラによると、郊外のユーザーの場合は、一戸建てに住んでいるケースが多いという。彼らは自宅の駐車場で、充電できるわけだ。最近、ガソリンスタンドの数も減少傾向にある。地域によっては、近くにガソリンスタンドがなく、EVのほうが便利という人もいるようだ。
マンションに住んでいる場合は、充電設備がない場合も多く、公共の急速充電器などを利用することになる。そういうユーザーには購入にあたって、自分の近くに充電できる施設があるかを事前に確認しているという。
現在、テスラが力を入れているのが独自の急速充電器「スーパーチャージャー」。これを利用すれば、公共の急速充電器より短時間で充電できる。30分の充電で、約250km走行するのに必要な電気を充電できるという。都内では台場、丸の内、六本木、東雲に設置されており、近隣のマンションに住んでいるユーザーはここで充電するケースが多いそうだ。特に周囲にマンションが増えている東雲は同社のサービス拠点も兼ねており、稼働率はかなり高いという。
テスラの航続距離は最も短いスタンダードレンジプラスでも約400km。近くにスーパーチャージャーがあればベストだが、公共の急速充電器が活用できる地域に住んでいれば、充電の不安は、あまり感じないということだろう。ただし、ガソリンを入れるように5分程度で終了とはいかない。EVの充電を行う際は、急速充電器でも数十分単位の時間が必要となる。そこでテスラは、充電時間を快適に過ごせるように、車載通信機を利用した車載ディスプレーで楽しめるエンターテインメントにも力を入れている。