お酒の飲み方でも風邪を遠ざける ポイントは「頻度」風邪と飲酒【後編】

日経Gooday

誤ったマスクの使い方をしている人も少なくない。写真はイメージ=(c)PaylessImages -123RF

「風邪、インフルエンザの予防の要は『飛沫感染をいかに防ぐか』です。それにはマスクが有効だと私は考えています。マスクによって得られる効果は、(1)飛沫の防止、(2)喉の乾燥防止、(3)マスクをしていると自然と顔を触らないの3つです。マスクをしていると鼻や口を触ることがありませんので、接触感染を防ぐこともできます」(大谷さん)

大谷さんによると、欧米においてマスクは「医療従事者がつけるもの」という認識があるため、その予防効果についてエビデンスはほとんどないのだそうだ。国内では、製薬会社のエーザイが2012年に、日本人の男女310人を対象にマスクの利用実態調査を実施しており、そこからマスクの誤った使い方が見えてくると大谷さんは話す。例えば、誤った使い方として、ウイルスが付着したマスクのフィルター部分を触っている、マスクを外した後の手洗いができていない人が多いという。

そこで、正しくマスクの使う4つのポイントを大谷さんに指導していただいた。

【正しくマスクを使うための4つのポイント】
1 正しいサイズのマスクを選ぶ
2 マスクをつける前に手を洗う
3 つけ外しはゴム紐の部分を持って
4 「使い捨て」を徹底する

「まず一番大切なのは、自分に合った正しいサイズのマスクを選ぶことです。鼻からあごまでしっかりと隙間なく覆い、頬(ほお)にフィットするものがベストです。2つ目に注意するのはマスクをつける前に手を洗うこと。ウイルスだらけの手でマスクをつけたら逆効果ですから」(大谷さん)

なるほど、マスクをつける前のことまで考えたことはなかった。確かにウイルスだらけの手でマスクをつけたらダメだろう。

「3つ目はつけ外しの仕方です。必ずゴム紐部分を持って、つけ外しをしてください。マスクの表面部分はウイルスをよけるためのもの。そこを手でべたべた触ってしまっては無意味です。最後のポイントはマスクの使い捨てを徹底すること」と大谷さん。

先に挙げたエーザイの調査によると、6人に1人は「2日以上マスクを取り替えない」という回答があったという。50歳以上の男性の場合、2日以上同じマスクをしている人が半数を占めるという驚くべき結果が出ているのだそうだ。「マスクの再利用はせず、必ず使い捨てにしてください」(大谷さん)

いくらエコの時代とはいえ、マスクの再利用はちょっと…。ちなみに大谷さんは、診察がある時は日に平均20枚、オフの日でも日に4枚以上のマスクを使うという。さすが体調管理のプロ、徹底ぶりがすごい。

ちなみに1日に1回マスクを取り替える人は、平均して日に8回ほど同じマスクを外して、またつけるという結果が同調査によって判明している。

「しっかり予防するなら、同じマスクを再利用するより、日に数枚使用するほうが有効」と大谷さん。ホントに風邪を引きたくないなら、マスクをケチってはいけないのだ。飲み会があり、必然的にマスクを外すことが分かっている場合は、バッグに新しいマスクをしのばせておこう。

まずは「正しい手洗い」から実践しよう

マスクに次いで大谷さんが強く勧めるのは「正しい手洗い」だ。帰宅してすぐの手洗いは常識だが、そこにはきちんとした意味がある。

「風邪予防にはむやみに鼻、口、目、つまり顔を触らないことが有効です。しかし意外にも人は無意識のうちに顔を触っているんですよね。顔を触ると、そこからウイルスが侵入し、感染してしまうリスクが高まります。そのためにも正しい手洗いを会得することが大事なのです」(大谷さん)

もちろん、ただ手洗いをすればいいというものではない。たまに、蛇口から出る水で軽く流す程度で済ませる人も見かけるが、これはNGである。

「サッと洗うだけではなく、石鹸を泡立て、手のひら、手の甲、指の間、爪の先や間、手首を30秒以上かけてしっかり洗いましょう。また拭き取りはタオルではなく、ペーパータオルが一番です。同じタオルを日に何度も使うと、逆にウイルスまみれになってしまいます」(大谷さん)

かつては「自分のハンカチやハンドタオルで手を拭くのが女子の鏡」みたいなことが言われていたが、風邪予防からすれば逆効果。ましてやタオルの貸し借りなんて、ウイルスのうつしあいにしかならないようだ。

体調管理のプロの驚異の徹底ぶり

さらに、大谷さんは不特定多数の人が触れる電車やバスのつり革、オフィスのエレベーターのボタン、ドアノブなどの触り方についても注意を促す。

「ウイルスの感染経路には、不特定多数の方が触れるつり革やエレベーターのボタンなども考えられます。米ミネソタ大学の研究によって、金属やプラスチックなど、表面が滑らかなところについたインフルエンザウイルスは24~48時間も生存可能という結果も出ています」(大谷さん)

大谷さんは、ウイルスを避けるために、エレベーターのボタンなどを押す際には、指先を使わず、指を曲げて第二関節でボタンの端のほうを押す、そしてドアノブは肘や手のひらを使うようにすることも勧める。

加えて、大谷さんは、不特定多数の人の手に触れる硬貨を極力使わず、キャッシュレス決済を利用するといったことまでしているそうだ。「小さなリスクをこまめに潰していくことが体調管理には欠かせません」と大谷さん[注1]

こんな予防方法があるとは! そしてここまで気をつけているとはスゴすぎる!

これまで考えもしなかったが、ここまで徹底しているからこそ、大谷さんは30年間も風邪とはほぼ無縁でいられたのだろう。

いくら酒が風邪予防の効果が期待できるとはいえ、飲むだけで予防できるわけではない。マスクと手洗い、そして指先をなるべく使わないという風邪予防の基本をしっかり覚えておこう。

[注1]このほか大谷さんは、アルコール消毒、うがい、歯みがきやフロスによる口腔ケアなども日々実践している。

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