ナビタイムがお台場観光アプリ 経路探し乗り物決済も

ナビタイムジャパン(東京・港)は次世代移動サービス「MaaS(マース)」のアプリ「モビリティパス」を開発した。お台場観光に特化したもので、観光スポット選びから経路の検索、乗り物の予約、決済まで、ワンストップで完結できるのが特徴だ。最寄り駅から目的地までの「ラストワンマイル」をつなぐシャトルやシェアサイクルにも対応した。
路線検索、シャトル予約、シェアサイクルの決済まで
経路検索サービス「NAVITIME」で知られるナビタイムジャパンが開発した「モビリティパス」は、東京都が2019年秋に公募した「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」のために開発されたMaaSアプリ。
この実証実験にはタクシー配車アプリのジャパンタクシー(東京・千代田)やシェアサイクルのドコモ・バイクシェア(東京・港)、りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道(東京・江東)、東京臨海副都心まちづくり協議会、KDDIが参画しており、20年1月16日から2月14日まで実施した。
モビリティパスは、お台場エリアのお薦めスポットや、エリア内のショップが提供するクーポン一覧から目指す店舗を選んで経路を検索できる。電車、バスといった公共交通機関に加えて、お台場エリアを回遊するシャトル、現在地近くのシェアサイクルを組み合わせたマルチモーダル経路探索が特徴だ。移動手段として表示されたシャトル(実証実験中は無料)の予約や、シェアサイクルの「1日パス」(税込み1650円)の購入も可能。目的地選びから乗り物の予約、決済までを1つアプリで完結できるのがポイントだ。



今回の実証実験では、アプリ利用による観光客の回遊性の向上、シャトル有償化に向けた課題の抽出、クーポンのデジタル化による利用者の増加といった項目を検証する。ナビタイムジャパンMaaS事業部の森雄大部長は「経路を提示するだけならGoogleマップの『ルート検索』などでもできる。ナビタイムとしては、最寄り駅から目的地までをつなぐ『ラストワンマイル』を提供することで、単なる経路検索サービスからの脱却を目指している」と話す。実際、19年の春にはNAVITIMEアプリ同様、Googleマップのルート検索も自転車ルートに対応した。現段階では日本版は未対応だが、ナビタイムとしては新たな差異化ポイントを探りたいところだろう。
なお、お台場エリアを回遊する「東京臨海シャトル」の路線は「お台場回遊ルート」と「勝どき-お台場回遊ルート」の2種類(2月12日で運行終了)。シャトルは各路線に2台ずつとなっているが、サービスを提供するJapanTaxiによれば、実証実験の結果、採算が取れるとなれば3台、4台に増やす可能性もあるとのこと。JapanTaxiの狙いは、タクシーの「相乗り営業」が近い将来に解禁されるのを見越してデータを収集することだ。

今のところ同アプリで利用できるシェアサイクルはドコモ・バイクシェアのサービスのみだが、ナビタイムとしては将来的には複数のサービスを選択できるようにしたい考えだ。現在、国内にはCOGICOGI(コギコギ)、シェアペダル、ハローサイクリングなどのシェアサイクルサービスがある。それらのサービスもモビリティパスから利用できるようになれば、利便性が向上するのは間違いない。「JRも私鉄も地下鉄も検索できてこその路線検索。ラストワンマイルを強化する意味でも、複数のシェアサイクルサービスを利用できるようにしていく」(森氏)。

移動がスムーズになれば、お台場エリアを訪れる観光客の回遊性がアップするのは間違いない。同エリアの活性化を期待する東京臨海副都心まちづくり協議会では、観光施設情報などのコンテンツを提供するほか、エリア内のショップはアプリから利用できるデジタルクーポンを提供することで集客を図る。

(文・写真:堀井塚高)
(写真提供/ナビタイムジャパン)
[日経クロストレンド 2020年1月30日の記事を再構成]
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