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咳がつらいとき、止める方法はある?

→止めていい咳、止めないほうがいい咳がある

「咳は生体防御反応なので、本来、異物や病原菌を吐き出すための咳は、止めてはいけない咳です。正常な咳反射を保つには、のどの筋肉や呼吸筋を保つことが重要で、高齢になると、のどの機能が衰えて、度々むせるようになったり、誤嚥性肺炎のリスクが高まったりします。咳反射の機能を維持するには、音読、腹筋運動などが効果的です」と大谷さん。

一方、ぜんそく発作で起こる咳は体力を奪い、夜中に咳が続けば眠ることもままならなくなる。咳が止まらないと、周囲の人にも気を使って精神的にも疲れてしまう。そうした「咳疲れ」を招く発作のような咳は、できるだけ出さないようにしたい。

咳ぜんそくの場合は、吸入ステロイド薬などを使った治療のほかに「環境や生活習慣の見直しも大切」だと大谷さん。日ごろから、うがい・手洗い、マスクなどを活用し風邪を予防する、疲労やストレスをためない、高機能の空気清浄機を設置したり掃除をこまめにしたりしてアレルゲン(ホコリ、花粉、植物、ペットの毛)を減らすなど、工夫できることはいろいろある。

意外なところでは、口腔ケア(歯磨き)や鼻呼吸なども、咳の予防に有効。「歯磨きは咳の原因になる口内細菌を除去するのに重要で、インフルエンザ対策にもなります。なぜかというと、口腔内細菌から出るタンパクが、インフルエンザウイルスの気道への侵入・増殖を助けてしまうからです。口腔ケアをしっかりとした群は、しなかった群と比較してインフルエンザ発症が大幅に減少したとする医学論文もあります。鼻呼吸にも異物やウイルスを取り除いてくれるというメリットがあります。吸った空気が保湿されるので、呼吸器にも優しいのです」(大谷さん)

このほか、加湿器も有効。湿度を保つことで喉の乾燥を防ぐほか、風邪もひきにくくなる。ただし、加湿器にカビが繁殖するとかえってアレルギー性肺炎である過敏性肺炎のリスクが増してしまう。カビの発生を防ぐために、加水せず毎日水を交換することや、定期的に清掃することが必要だ。

(ライター 及川夕子、図 増田真一)

大谷義夫さん
池袋大谷クリニック院長。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。米国ミシガン大学に留学などを経て、2009年に開院。全国屈指の呼吸器内科の患者数を誇るクリニックに。医学博士、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。近著に「絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理」(日経BP)がある。

絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理

著者 : 大谷 義夫
出版 : 日経BP
価格 : 1,540円 (税込み)

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