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空から畑を堪能 進化するフランスのワインツーリズム

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フランスのワインツーリズムの人気が高まっている。

同国は年間8900万人と、世界で最も多く海外から観光客が訪れる国だ(2018年国連世界観光機関調べ)。その中で、ブルゴーニュ、ボルドー地方をはじめ、全土に広がるワイン産地に観光に訪れる外国人観光客は420万人(2016年フランス観光開発機構調べ)。2009年から16年までの7年間で40%も増えているという。

「統計はないのですが、20年前は産地を訪れるのはソムリエやレストランのオーナーなどワイン業界で働く人ばかりでした。世界的にワインの人気が高まる中、有名なフランスの産地を訪れたいという人が増えているのでしょう」とフランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンクさんは指摘する。

20年ほど前、ロマネ・コンティなどの超高級ワインは一体どんな場所で造られるのだろうと、ブルゴーニュを訪れたことがある。路線バスに乗り田舎道を「ワインの首都」と言われる街ボーヌに向かう中、バス停の名前がワインで有名な村の名前であったことに心が浮き立ったものだ。

ワインツーリズムと聞きそんな素朴な旅行の思い出が頭に浮かんだが、現代のワインツーリズムはそんなオーソドックスな観光にとどまらない。地域に訪れた客を楽しませるため、驚くようなプログラムがあるのだ。

19年には新しい取り組みとして、フランス観光開発機構パリ本部が仏ワイン誌『テール・ド・ヴァン』と共催する、優れたワインツーリズムの取り組みを表彰する「ワインツーリズム大賞」を創設。記念すべき第1回大賞には約300社が応募、そのうち9社が金賞を受賞した。

授賞ワイナリーの一つ、ボルドーのシャトー・ヴェニュスは、小型飛行機で一帯に広がるブドウ畑や有名シャトー(ワイナリー)上空を観光するプログラムを提供。20~25分で1人69ユーロ(約8400円)のコースから、希望のルートを飛んでくれる1時間同129ユーロ(約1万5700円)のコースなど、時間・内容ともにバリエーションに富んだ7つのプログラムを用意する。

また、近年注目が高まっているワイン生産地、フランス東部ロワール地方のワイナリー、メゾン・アッカーマンは、ワインを貯蔵するカーブで様々なアーティストによる作品を紹介。一定期間でアーティストを入れ替え、再訪を促す。壁に映像を投映するプロジェクションマッピングの作品などは、まるでディズニーランドのアトラクションのようだ。

もちろん、いずれのワイナリーでもテイスティングやワインの購入が可能。今やワインツーリズムに力を入れているとしてリストされる施設は、フランス全土に6000カ所もあるという。

「小規模生産者が多いブルゴーニュでは、かつては観光客がワイナリーを見学したいといってもあまり歓迎されませんでした。シロウトが畑を荒らしてしまうのではないかといった懸念があったからです。その後、観光のためのスタッフを置くなどきちんとした管理をしていれば畑を荒らされる心配はないと分かり、快く観光客を受け入れるワイナリーが増えてきました。今では、観光客を受け入れるための一定の条件を整えたワイナリーが、ブルゴーニュに309カ所あります」(マゼンクさん)

受け入れ条件には、「必ずワイナリーでワインが試飲でき購入できること」という項目もある。当然のことのように思えるのだが、以前はせっかくワイナリーを訪れても在庫がなく、買えないことも珍しくなかったらしい。

ブルゴーニュ地方のあるフランス中部のブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏は、フランス各地のワイン産地の中でも特異な場所でもある。「クリマ」という、ブルゴーニュ地方独特のごく小さな栽培区画が広がるユニークなブドウ畑の景観をはじめ、圏内に8つの世界遺産を抱えるのだ。これは、フランス南部のオクシタニー地域圏と並び、13の地域圏の中でフランス最多である。

例えば、日本で人気の高い20世紀の建築家ル・コルビュジェによるノートルダム・デュ・オー礼拝堂(通称・ロンシャンの礼拝堂)も、この地域圏にある。ル・コルビュジェによる東京・上野の国立西洋美術館と共に、16年に世界遺産に登録された。

一方、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方観光局局長ソフィ・オリエ=ドマさんが、特に人気の世界遺産として挙げるのはヴェズレーの大聖堂(修道院の付属聖堂)だ。丘の頂上に位置する12世紀の聖堂は、「ヴェズレーの教会と丘」として79年に世界遺産に登録された。フランス初の世界遺産の一つである。

「ワインの歴史とその発展には、修道院におけるワイン造りがかかわっています。こうした歴史的な場所でのワインのテイスティングを組み入れたツアーなどもあり、とてもエキゾチックな体験ができるでしょう」とブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方観光局財務部長のパトリック・モリノさんは話す。

おいしいワインがあるとなれば、欲しくなるのはお供となる食べ物だ。以前、ブルゴーニュに訪れた際は、牛乳から作るウォッシュタイプのチーズ(外皮を塩水などで洗いながら熟成させたチーズ)、エポワスに出合い、ワインとの相性のあまりの良さにすっかりこれにはまった。少し香りが強いチーズだが、きれいなオレンジ色の表皮の中はとろりとしていて、ワインが止まらなくなる。

しかし、モリノさんにお薦めを聞くと、エポワスの他に「ブリア・サヴァラン」というチーズの名前が挙がった。著書『美味礼賛』で知られる18~19世紀初めの食通、ブリア=サヴァランの名を冠したチーズだ。牛乳から作るチーズで、フレッシュなものと白カビが生えた熟成タイプがある。

クリームを加えて作るチーズで、「どんな味わいですか」と聞くと、モリノさんがえもいわれぬ表情で、「それはそれはクリーミーで、トリュフともすごく相性がいいんです」とため息をついた。ちなみに、この地域圏はトリュフの産地でもあり、「午前中にトリュフ狩りをして、お昼にはトリュフづくしの料理を食べるという観光プランもあるんですよ」とはマゼンクさん。

シャロルという村が発祥地であるフランス最古の肉牛シャロレー牛もこの辺りの特産品。どんな料理として食べるのがお薦めかを聞くと、「数えきれないほどの調理法がありますが、一番有名なのはブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮)ですね」とオリエ=ドマさん。だが、個人的にはどんな風に食べるのが好きかと聞くと、彼女もモリノさんも声をそろえて「リブステーキですね」と口元をほころばせた。肉の味をストレートに味わえる料理が一番ということなのだろう。

赤ワインを使った料理では、「ウッフ・アン・ムーレット」も有名なこの地方の料理だ。ベーコンなどを使った赤ワインソースにポーチドエッグを合わせたビストロ料理で、家庭でもパーティー料理として親しまれているという。卵の下には、グリルしたパンが隠れている。19年にはなんとこの料理の第1回コンテストが開催されたそう。フランス各地から集まった料理人が腕を競い、パリのシェフが優勝した。

ワインを使った名物料理としては、同地域圏の中でスイスに接したジュラ地方特有のヴァン・ジョーヌ(黄色いワイン)を使用した煮込み料理も。ヴァン・ジョーヌはその名の通り黄色く少し甘いワインだが、鶏やアミガサダケと一緒に煮込んだ料理は、「素材の一体感がすばらしい」(オリエ=ドマさん)とか。

近年、日本の旅行者からは「ブドウの収穫を体験してみたい」という要望も多く聞かれるといい、そうしたプログラムを提供するワイナリーもある。これからは、ワイン生産地だけでたっぷり長期滞在を楽しむ人も目立ってきそうだ。

(フリーライター メレンダ千春)

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