現地に飛び込むことのよさは、英語の学習面だけではありません。例えば、お国柄の違いに苦労するのもいい経験になりますし、楽しさでもあります。日本国内では暗黙の了解になっている価値観も、海外に出れば通じないのが当たり前のようなことが多いです。カルチャーショックが多く何かと大変な半面、国内で生きていると無意識に刷り込まれているバイアスから解放される側面もあり、本当に気付きが多くて面白いです。特に西欧では高い役職に就いている多くの女性たちと接し、日本社会のなかの女性に対する見えにくい偏見に気付かされました。

日本国内で活動するよりも圧倒的にチャンスが多いので、クリエーターの方はもちろんですが、会社員の方にも、海外展開を視野に入れて将来のキャリアプランを立てることは本当におすすめです。特に、文章表現ではない「形のある作品」などを作っている人は、言葉の壁が少ない分、さほど難易度は高くないので、ぜひどんどん国外に出て行ってみてください。

海外では常に楽しむ心をもって機嫌よく

様々な国で展示会を行うことで得られるものは非常に多いものの、それと同時に海外渡航につきものなのが、思いがけないトラブルです。「海外展示トラブル100本ノックかよ」というレベルのことを、私も経験しています。

19年にオーストリアで開催された展示会に参加したときには、パスポートの期限切れが渡航当日に発覚、あらゆる機材が壊れまくる、現地で必要な資材が見つからない、などなど。最終的にはなんとかなったのですが、こんなに「ヤバい局面」は経験したことがない、というくらいのトラブルが重なって大変な目にあいました。

ですが、この経験から気付いたこともありました。それは、トラブルを乗り越えるために重要なことは、「どんなヤバい局面でも、どこか楽しむ心構えでいるとどうにかなる」ということです。本当にこれは大事だと思いました。悪い方向に考えたり絶望したりするとそれだけでメンタルを消耗して、本当に頑張らないといけない部分でガス欠してしまいます。

「アルスエレクトロニカ」栄誉賞受賞をきっかけに海外での展示オファーが相次ぐように(オーストリア・リンツ市)

そして、大変なときこそきちんと身ぎれいにして機嫌よく楽しそうにやっていると、いろいろな人が助けてくれるということもわかりました。何か大変なことやトラブルが起きたとき、髪を振り乱して悲壮感を漂わせて駆け回っていると、人は離れていってしまうものです。国を問わず、こう言う人には近寄りたくない、自分もトラブルに巻き込まれそうで怖い、と思われるものなんだなと思いました。

でも、身ぎれいにして、楽しそうにやっていると、なぜか人が集まってきて助けてくれました。必要な機材が壊れ、焦って大慌てしていたときには現地の店員さんに冷ややかにあしらわれましたが、落ち着いて冷静に困っていることを伝えたときは、丁寧に対応して助けてもらえて、トラブルはあっさりと解決しました。

「なるべく機嫌よく、楽しんでいること」はどこの国でもとても大事なんだなと実感しました。

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行ってしまったらどうにもできないことは完璧に準備を
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