「とにかく出て行け!」とはいうものの、突然開かれた海外への扉に私自身、右往左往したのは事実です。ただ、はじめての海外出展にあたっては、様々な方に事前に情報をいただけたおかげで、かなり助かった面がありました。

海外へ行くための準備として、まずは「語学力」を上げる方が圧倒的に多いと思うのですが、具体的な「渡航準備」となると、語学以上にやらなければならないことが山積みです。そして、渡航経験が少ない段階では、ほぼ何をやっていいかわからない状況になります。

行ってしまったらどうにもできないことは完璧に準備を

私の過去の失敗から言えることは「行ってしまったらどうにもできないことは事前に完璧に準備をしていく!」ということです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、優先順位をつけて準備しないと、現地調達でなんとかなるものや最悪どうとでもなることばかり手間をかけて準備して、肝心なところを見落としてしまうということは多々あります。

例えば、事前に申告が必要なものの見落とし。私の場合、展示会のために作品や様々な機材を持ち込むので、それらのものを関税を支払わずに税関でスムーズに通すために必要な「ATAカルネ」という事前申請があります。「入国ビザ」などの申請については、すぐに思いついたので事前準備を抜かりなくやったのですが、逆に不要だったというオチがついたこともありました。

そして、今の時代、海外に行く際に欠かせないのがネット環境のチェック。実際の渡航先の国内の環境が日本からではわかりづらい分、これも見落とすことが多いポイントの1つです。例えば、中国ではTwitterやGoogle、Facebookなどの外資系サービスが総じてアクセスできないため、事前対策が不可欠です。これは、中国国内に入ってしまうとどうにもならないことなので、しっかりと前もって調べておく必要があります。また、Googleマップの情報が古すぎて使い物にならなかったり、独自の交通アプリが普及している場合など、現地アプリが必須などということもあります。

渡航先によってはネット環境などのチェックも欠かせない(北京で、 Photo: Vanessa Graf / Ars Electronica)

思い切って海外に飛び込むことは大事ですが、一方で事前に対策できることも結構あるので、そのあたりはしっかりと冷静に調べておくことをおすすめします。

海外進出の話をすると、「自分には関係ない」「まずは語学を習得してから」と思われる方もいるかもしれません。しかし、海外が以前とは比べものにならないほど身近になっている現在、言葉が完璧でなくても「度胸」と「入念な準備」の両軸があれば、海外進出はさほど難しくはないのです。海外に対してのイメージや固定概念をまずは捨て、ものは試しと取り組んでみることが海外進出への第一歩になると思います。

=この項おわり

<<(3)肩書は名乗った者勝ち フリーランスの自己演出3カ条

市原えつこ
メディアアーティスト。1988年愛知県生まれ。早大文化構想卒。日本的な文化・習慣・信仰を独自解釈し、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作。主な作品としては、大根を使った体験型コンテンツ「セクハラ・インターフェース」や、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる「デジタルシャーマン・プロジェクト」(文化庁メディア芸術祭優秀賞、アルスエレクトロニカ栄誉賞)など。11月には東京・中野でキャッシュレス時代をテーマにした「仮想通貨奉納祭」を催した。 https://note.com/moja_etsuko

「フロンティアの旗手たち」記事一覧

ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら