ミスや失敗の「その後」が、あなたの評価を決める

ですからここで、考え方を変えましょう。すでに起こしてしまったミスや失敗なのですから、活用する方法を考えるのです。具体的には、原因を突き止めて、その原因に対して手を打つことで、「同じミスや失敗をしようと思っても、二度とできないような仕組み」をつくり上げましょう。

このように仕組みづくりをすることは、将来起こってしまうかもしれないミスや失敗を防ぐために、大きな意味を持ちます。

なぜならミスや失敗は、「起きやすいところ」が決まっているからです。交通事故の多い交差点があるように「誰でも見逃しやすいポイント」「誰でもミスしやすい作業」があります。起こってしまったミスや失敗を通して、そのポイントを克服することで、関連業務のリスクも格段に減らすことができるでしょう。

あるいは、何か新しいものを生み出すうえでのミスや失敗でも、起こるときにはパターンがあります。そのポイントやパターンに対して仕組みづくりをすることで、より計画的に仕事を進められるようになるのです。

ただし、このとき、

「次からは見落とさないように気を付けよう」

「周知徹底して、ミスの再発を防ごう」

と、精神論で乗り切ろうとしてはいけません。気を付けないとうまくいかないならば、それはまた次のミスや失敗の温床になります。仕組みから見直さなければ、また注意力が散漫になった瞬間に、あるいは担当者が変わるごとに、同じミス・失敗が生み出されてしまうことになるのです。

また、「仕組みづくり」といっても、頭を柔らかく考えれば難しいことはありません。

例えば、4人から承認をもらわないといけない書類で、ある人の承認をもらわずに先に進んでしまってミスや失敗が起こったときにすべきなのは、「全員から承認をもらわないと先に進めない」仕組みをつくること。そのためには、書類の片隅に承認者のチェックボックスをつくって承認プロセスを可視化すれば十分です。

あるいは、エクセルに売り上げなどの数値を入力する場合には、確認作業の一環として棒グラフ化して視認する仕組みをつくれば、桁の間違いなどのあり得ないミスを撲滅できるでしょう。

このように、「同じミス・失敗をくりかえしたいと思っても、二度とできない」ように仕組み化できれば、経験を積むたびに「仕事ができる人」という評価を得やすくなります。

ミスや失敗によって生み出した仕組みそのものをチームや部署にも浸透させていけば、「このチームに不可欠な人材」として、重宝されるようにもなっていくでしょう。

正しく対処し克服できれば、ミスや失敗をするごとに「大きな成功」に近づくことができる

だからもし今、Bさんのような境遇にあるとしても、ミスや失敗に適切に対処することで、Aさんのような高い評価を得ることができます。ミスや失敗を恐れることなく、新しく様々なことに挑戦して、成果をあげていくことができるのです。

飯野謙次
スタンフォード大学工学博士。東京大学特任研究員。失敗学会事務局長。1959年大阪生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、General Electric原子力発電部門へ入社。その後、スタンフォード大で機械工学・情報工学博士号を取得し、Ricoh Corp.へ入社。2000年、SYDROSE LPを設立、ゼネラルパートナーに就任(現職)。02年、特定非営利活動法人失敗学会副会長となる。著書に『ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?』(日経BP)、『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』(文響社)などがある。

ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?

著者 : 飯野 謙次
出版 : 日経BP
価格 : 1,628円 (税込み)

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