会社とは別のコミュニティーで視野広がる
――プロボノ活動をしているから会社員の活動にメリットがあったと思えることは他にどんなことがありますか?
複数の場に身を置き、引き出しが増えることは非常にプラスに感じます。職場ではリーダーをしていますがプロボノではサブの役割をすることで、リーダーの視線だけでは見えない仕事への気付きがあります。会社だと自分がチームの年長者になることが多く、そもそもベンチャー1社の経験しかないので井の中の蛙(かわず)になってしまってもおかしくない環境です。会社とは別のコミュニティーに身を置くことで、さまざまな業界や働き方をしている人と出会えたり、キャリア面での先輩メンバーと、さまざまな視点で話ができるのも楽しいです。
本業の実務でもSNS(交流サイト)の運用について次のようなメリットがありました。PRの仕事ではクライアントのSNS運用について「こうしたほうがいいですよ」というアドバイスをすることはありますが、どうしても入社以来「代理業側」の立場の経験しか積んできていないので、プロジェクトを運営するクライアント側の目線で、SNSをどうやって組み合わせればよいかを提案したり、相談に乗ったりできるようになりたいという気持ちがありました。
そこで、プロボノで手を動かして投稿体制を整備したり、投稿内容も模索しながら実践したりしています。6月に行ったプロボノの半期の活動振り返りの際は、自主的にSNS投稿の傾向から見えることを全体にリポートしました。
このことにより、本業のクライアントから「PR活動で露出に成功した案件をさらにSNSで展開していくにはどうしたらいいか?」と相談された際に、自信をもって「Facebookでは○○、Twitterでは○○。だからこうするといいと思います!」と回答することができたのです。これは日ごろ、プロボノで実際の運用を行っていたからだと思います。以前であれば外部のパートナー企業に相談したりするところを、自分で対応できるようになりつつあるのもやりがいを感じます。
――最後に、この働き方をどんな人におすすめしたいですか?
仕事以外の「コミュニティー」を持ちたい人や新卒から1社で働き続けているなど、自分のスキルなどに応用力があるかどうか不安な人におすすめしたいです。自分の市場価値は社内にいるとなかなか実感できませんが、プロボノ活動をすることで転職しなくても社内で積み上げてきた経験やスキルを会社以外の場所でも生かせるようになります。
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宮下さんはインタビューの中で「本業にかかわることを外からもってくることができるのが会社に対する自分の+αの付加価値だと気付いた」とおっしゃっていました。自分が長年培った経験を今いる会社だけでなく他にも生かすことで、より今の会社が楽しくなり、やりがいが生まれるのだと感じました。自分に何ができるか不安になったら、まずは興味があるプロボノに飛び込んでみるのもひとつの手ではないでしょうか。
