「今の職場では力を発揮できない」「この仕事は本当にやりたいことではない」という思いから、「キャリア迷路」にはまっている人が増えています。しかし、こうした悩みは、転職や異動などで必ずしも解決できるわけではありません。キャリア迷路から抜け出すためのコミュニティーを主宰する池田千恵氏は、まずは今ある環境を生かしつつ「公私混同力」を磨くことが先決だと指摘します。仕事で培ったスキルを無償で提供する「プロボノ」といった形で新しいコミュニティーとの関係性を築いてみたり、さらにはネットで単発仕事を請け負う「ギグエコノミー」を利用して自分の力を試してみたりすることも可能な時代になってきました。この連載では、これからの時代に必要な「公私混同力」について様々な事例を交えて解説します。
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「キャリア迷路」にはまる人が増えているのはなぜ?
「今の職場ではある程度結果を出してきた感覚があり、新しい環境に身を置いてみたい。でも、いきなり独立や転職というのもちょっと違う気がするし、異動を希望しても通るか分からない」
「もしかしたら結果がでたのは『たまたま』や 『会社の看板』かもしれないと思うと自信がなくなってくる」
「今までの昼も夜もない働き方のままでは子どもを育てながらキャリアアップすることが難しい。どうすればよい?」
「仕事は淡々と続けていてある程度結果をだしてはいるけれど、本当にやりたいこととは違う気がする」
キャリアアップ・転職・起業・副業を考えている人のためのオンライン学習コミュニティー「朝キャリ」を運営している筆者のもとには、自分のキャリアをどう構築していくかに迷い、方向性を決めて前に進みたいという相談が多く寄せられます。「キャリアに迷う」というと、仕事がうまくいっていない人がはまるワナのように思われがちですが、そうとも限りません。会社でめざましい結果を出し、向かうところ敵なし!と周囲には思われているような人からも、上記のような悩みを聞くことが増えました。
筆者は「キャリア迷路」にはまってしまう人が増えている理由は、次の2つだと考えています。
2.その結果、今の会社から飛び出して環境を大きく変えないとキャリアの展望が開けないという焦り、思い込みがある
順番に解説しましょう。