働く女性、近畿から逃げる? 就業率低迷に経済界動く

2019/11/19
チェンジウェーブ(東京都港区)が18年に始めた「エリアカレッジ」は、関西で働く女性が他社の女性らと交流し議論ができる場だ
チェンジウェーブ(東京都港区)が18年に始めた「エリアカレッジ」は、関西で働く女性が他社の女性らと交流し議論ができる場だ

京阪神を中心とする近畿圏は、高学歴女性の比率が国内で高い水準にある。ところが女性の就業率は全国平均より低い。人口の東京一極集中が進み、都市圏でありながら若い女性の流出も続く。女性の潜在力を引き出せない要因はどこにあるのか。大阪で取材する女性記者2人が、現状と課題に迫った。

「仕事と家庭を両立するのは東京よりハードルが高い」。大阪市の大手食品メーカーで営業職として働いていた女性(26)は2019年7月、結婚を機に退職した。取引先の地元中小企業は男性ばかり。休日出勤も珍しくなく、夫の帰りも遅かった。

上司から「仕事を続けられるようサポートする」と励まされたものの、「取引先や夫の働き方が変わらない限り、自分が仕事を続けるのは難しかった」と嘆く。滋賀県に住む義理の両親から「妻は家庭を支えてほしい」と職種変更を勧められたことも退職のきっかけになった。

近畿2府4県は京都大や大阪大をはじめ大学が多く、大学進学率も高い。文部科学省の16年度調査によると、女性の大学・短大進学率は東京(69.9%)に続き京都(68.8%)、兵庫、奈良、大阪と近畿の府県が上位5位に入った。一方で、女性就業率は低い。15年の国勢調査を基に甲南大学の前田正子教授が算出したところ、女性(25~44歳)の就業率は2府4県とも全国平均を下回った。

女性の流出も続く。総務省の統計「住民基本台帳人口移動報告」をみると、大阪府と滋賀県を除く近畿4府県で女性の転出者数が転入者数を上回った。15~19歳の女性は転入者数が転出者数より多いが、25~29歳で逆転する。

女性の働き方に詳しい前田教授は「近畿圏の産業構造や保守的な価値観の根強さが理由で、高学歴女性が流出している」と指摘する。住友グループの多くや伊藤忠商事など主要企業が東京に本社機能を移した結果、「高学歴女性に人気の事務系職種が関西で減った」(前田教授)。社会人1年目の為房愛子さん(23)は大阪大を卒業し、東京のIT企業に就職した。近畿圏での就職も念頭にあったが、「志望業界の企業は東京に多かった」と振り返る。

日本総合研究所の若林厚仁関西経済研究センター長は「関西で女性の就業が進まなければ産業が拡大せず、経済は成長しないだろう」と指摘する。働く女性が少ないと世帯収入が伸びず、域内の消費低迷も招きやすい。

地元の経済界や自治体はこうした状況に危機感を抱き、女性活躍の後押しに動き出した。12の自治体で構成する関西広域連合と関西経済連合会は17年、「関西女性活躍推進フォーラム」を設立した。20年2月までに女性活躍の新たな指数を作る。家庭での男女の役割の均等度や女性の活躍度合いなどを調べ、全国平均を基に域内8府県の指数を算出する。担当者は「女性の活躍度を、仕事と生活の両面で見える化し、対策づくりに生かしたい」と話す。