高校時代は一年中長靴、その反動で芽生えたこだわり
――唯一無二であり、特別なものに収集欲を刺激されるのですね。
「万年筆やペン類もそう。何百本も集まりました。たとえばこれはモンブランのもの。アポロ11号の月面着陸50周年を記念したもので、上部がブルーのカラーになっています。ビートルズの記念モデルも持っていますし、こうしたリミテッドエディションは語り出すと切りがないくらい好き。僕は物書きですから、書くことへのこだわりが強いのです。飛行機で移動する時は万年筆だとインクがぽたぽた垂れますので、万年筆とローラーボールペンの中間のようなパーカー5thが便利です。同じデザインで10本くらい持っています」
――機能性はゆずれないポイントですか。
「実は時計にもものすごいこだわりがある。有名な時計は何十本じゃきかないくらい持っています。でもね、結局これしか使わないというのが、このグランドセイコーです。どうしてかといえば、1秒も狂わないから。もう20年使い続けています」
「あと集めているものといえばピンバッジ。ネクタイをしないときのポイントにもなります。いま付けている犬のピンバッジは、いったん壊れかけて、直したらだんだん愛犬のエリゼ(ビションフリーゼ)に似てきました」
――ものへのこだわりが芽生えたのはどうしてですか。
「なぜかなあ。北海道生まれで高校時代、雪道になったりどろんこになったりする道を、一年中長靴をはいて通っていたほど、スタイルにこだわらない変わり者だった。それでかえって、ある種のこだわりが反動として芽生えたのかもしれない」