スマホ老眼を改善 3分間「アイスプーン」マッサージ
目の疲れやかすみ、ピントの合いづらさ……年とともに深くなる目の悩み。これを改善するには、血流を高めるのがポイント。温めたスプーンなら、血流を高めながら、さらに目にいいツボも刺激できる。「たたく」「さする」「ゆする」の3ステップで3分ほどだ。
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パソコンやスマホを使って目が疲れてくると、目がかすんできたり、ピントが合いづらくなってきたりする……。「加齢による目の衰えに加え、目を酷使するため、現代人は目の疲れが尋常でない」と話すのは吉祥寺森岡眼科院長の森岡清史さん。対策としては、「目を温めて血流を高め、さらに目のまわりのツボを刺激するのがいい」と話す。
そこで、森岡さんが薦めるのが金属製のスプーンを温めて行うマッサージだ。これなら、目を温めながら、ツボを刺激できる。森岡さんは「目の疲れが改善すれば、ピント調節機能が低下したスマホ老眼の症状も改善し、老眼の進行をもゆるやかにできる」と話す。
「スプーンアイマッサージ」とは
温めたスプーンで目のまわりを刺激すると、目のまわりの血流が良くなり、"見る力"が改善する。すくう部分裏のカーブ面を使って目のまわりをたたいたり、さすったりする。カーブの度合いがちょうど良く、気持ちいいと感じるものを選んで。
目のマッサージにスプーンがいい2つの理由
1 金属製で少し大きめのデザートスプーンだと温かさが伝わりやすい
金属は温めたり、冷やしたりしやすく、触れた面に温度を伝えやすい。目のくぼみの大きさに近い、デザートスプーンがお薦め。
2 力加減によって触れる面の大きさが変わる
スプーンのすくう部分は滑らかなくぼみ。アイケアでは裏面を使い、「軽くたたけば点、強く押し付ければ面」というように触れ方によって刺激を変えられる。
目の疲れには、ピント調節を行う筋肉や眼球を動かす筋肉が関係している。だが、それらに直接触れるのは難しいので、目の機能に効果があるツボを刺激しよう。「目のまわりにある10のツボのうち、さん竹・陽白・魚腰・四白は眼精疲労を改善させる働きがある」(森岡さん)。
スプーンアイマッサージのポイント
熱めのお湯を注いだコップの中にスプーンを2~3秒入れて温め、ティッシュペーパーで水分を拭き取る。スプーンの温度は50℃が目安。目に当てる前に必ず手のひらで「少し熱い」と感じるくらいの温度になっていることを確認して。途中で冷めてきたら再びお湯につけて温めよう。
たたくさするゆするで目の血流アップ!
スプーン刺激の方法は「たたく」「さする」「ゆする」の3種類。朝、昼、晩の1日3回を目安に、毎日続けることが大切。
スプーンマッサージのメリットは、「目にしっかり熱を伝えながらも、一度に複数のツボを刺激できること」と考案した、目と耳の専門整体院、日本リバース院長の今野清志さんは話す。
「温めたスプーンで行う『たたく』『さする』『ゆする』という3種類の手技には、鍼(はり)、灸(きゅう)、指圧の要素が備わっている。忙しいときはさすり(すりすり)だけでも行うといい」と今野さん。実際、今野さんの指導でこのマッサージを行った27人中、24人で直後に視力が改善したという。
1【スプーン・タップ】軽くたたいてツボ刺激
まずは、まゆげトントン。眉間からこめかみに向かって、まゆげに沿って少しずつ位置をずらしながら5回ずつトントンとたたく。心地よいと感じる強さで。反対側も同様に行う。
次に、目の下トントン。目の1cmほど下のラインを、目頭から目尻に向かって、少しずつ位置をずらしながらトントンとたたく。1カ所5回ずつ。反対側も同様に行う。
強く、たくさん刺激するほうが効くわけではない。「心地よい」くらいの力加減で、皮膚を傷つけないように行おう。お湯の温度も熱すぎないよう注意して。
2【スプーンすりすり】目のまわりをじっくり温める
まずは、まぶたすりすり。まぶたにスプーンの底の部分を当て、まゆ頭の下にある骨に沿って、こめかみへ向かってなでるようにさする。終点のこめかみに3秒間、圧を加える。5回繰り返し、反対側も同様に。
次に、まゆ~まゆ上すりすり。スプーンの通るラインはまゆげに沿わせ、こめかみに向かってなでるように動かす。さらに少し上げてまゆげの上をさする。次にもう一段階上で行う。5回繰り返し、反対側も同様に。
さらに、目の下すりすり。目頭の下にある骨に沿ってスプーンの底の部分を当て、こめかみに向かってなでるようにさする。スプーンの通るラインを少しずつ下げ、3段階に分けて5回ずつ繰り返す。反対側も同様に。
3【スプーンぐりぐり】目のまわりの筋肉をほぐす
まずは、まゆ~まゆ上ぐりぐり。まゆ頭にスプーンの底の部分を軽く押し当て、まゆ尻のほうへスプーンの位置を少しずつずらしながら、筋肉をほぐすように上下に5回ずつ細かくゆする。1回ずつ上にあげて3段階で。反対側も同様に行う。
次に、目の下ぐりぐり。目頭の下にある骨のくぼみにスプーンの底の部分を軽く押し当て、骨に沿って目尻のほうへ少しずつずらしながら、上下に5回ずつ、細かくゆする。少しずつ下にずらし3段階で行う。反対側も同様に行う。
スプーンの柄の先端でツボを刺激もオススメ!
押したいツボにスプーンの柄の先を当て3回まわす。その後、やさしく押して3秒間静止する。 「気持ちがよいと感じる刺激の強さには個人差があるが、少し強めの刺激が好きな人は柄の先端部分を温めて押す方法も。温熱刺激が広がるので、正確な位置は気にしなくても大丈夫」(今野さん)。
吉祥寺森岡眼科(東京都武蔵野市)。浜松医科大学卒業。全国でも少ない眼精疲労治療室を併設し、これまで13万人以上の専門的治療に当たる。
日本リバース 目と耳の美容室(東京都中央区)。中央大学卒業後、東京慈恵会医科大学に出向し、医学を学ぶ。中国北京国際針灸培訓中心結業・中国中医科学院で研修の後、整体治療院を開業。
(取材・文 塚越小枝子、写真 稲垣純也、モデル 島村まみ、スタイリスト 中野あずさ=biswa.、ヘア&メイク/千葉智子=ロッセット)
[日経ヘルス 2019年6月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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