1枚しか焼けない3万円トースター 完売の秘密は?

本当のおいしさを追求するなら、出来たての食パンの状態が一番。そこで、その状態になんとか近づけるために開発された調理器がブレッドオーブンです。「出来たての状態を再現したい」という思いで「オーブントースター」ではなく「ブレッドオーブン」と名付けました。

熱と水分と香りを逃がさない

――基本的なことですが、どうしておいしく焼くことができるのでしょうか。

ポイントは狭い庫内とヒーターです。

ポップアップトースターのように、食パンから近いヒーターで焼けば、水分減少を抑えてすばやく焼くことができます。ただポップアップトースターは、蓋が開きっぱなしの状態なので、水分が飛びやすいというデメリットがありました。

「熱」と「水分」と「香り」、これがおいしさを左右する要素です。ブレッドオーブンはその3要素を外に逃がさないように、優しく焼き上げる構造になっています。

――従来のトースターは水分が外に漏れているわけですね。

一般的なトースターは大きな庫内になっているため、空間が大きく、どうしても水分が減少します。また前にも後ろにも空気が抜ける穴があるため、そこから水分がかなり逃げています。

ブレッドオーブンは小さな蒸気口から蒸気が集中して出るようになっています。そのため、かなり蒸気が出ているように見えますが、従来のトースターから出ている水分の半分以下しか蒸気が出ていません。あの蒸気は実は余分な水分なんです。蒸気口にも秘密があり、途中まで蒸気を逃さないような弁が付いており、飽和状態になったときに初めて弁が動いて蒸気が出る仕組みとなっています。

終盤になると蒸気口から蒸気が一気に出てくるので驚くかもしれません。多く見えますが、これは余分な水分なのです

――ギリギリのところまで水分を閉じ込めて不要なものだけ出しているということですか。

その通りです。その結果、ミミまで固くならず、ふわふわにおいしく焼くことができます。

そしてもう一つのポイントは、プレート加熱方式を採用していることです。密閉した空間でフライパンのようにフラットなヒーターで焼き上げ、蒸し焼きのような状態で調理しています。ヒーターはかなり高出力で、上のヒーターは480度、下のヒーターは220度。すばやく表面を焼き上げて最後に余分な蒸気を出すという仕組みですね。

両面プレートで表と裏を同時に焼き上げることができます。表と裏の焼き色もほぼ同じで、網目模様もつきません

山形食パンを収めるため設計変更

――原理は分かりましたが、それならこの構造のままで本体を大きくすれば2枚焼きにできたのではないでしょうか。

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