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パソコン買うなら量販店より大学生協 その理由とは

学生消費 裏からみると…(1)

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NIKKEI STYLE

U22世代に売れた商品について、そのヒットの要因や、仕掛け人の動きを追う新企画。初回は毎年、学生に年間15万~20万台のパソコン(PC)を販売する全国の大学生協にスポットをあてる。個人向けPCの国内出荷台数が350万台程度であることを考えると、生協のシェアは相当なものだ。なぜ、学生は家電量販店よりも価格が高いこともある大学生協で買うのだろうか。

まずは勤務先の千葉商科大学の教え子に聞いてみた。

「正直、母親からは『家電量販店の方が安いかも』と言われました。でも、保証の内容などを考えると、大学生協だと考えました。地方の大学に通い、一人暮らしをしている弟も大学生協でPCを買いました。いつも、近くにあって、困ったら相談できることがポイントです」(国際教養学部 3年生)

「大学入学前の春休みに大学生協で買いました。その場でセットアップしてもらいました」(国際教養学部 3年生)

ポイント還元などを考えると必ずしも家電量販店よりも安いわけではない。扱っているモデルも、スタイリッシュなものではなく、ビジネス用のモデルをベースとしたものが中心だ。

それでも大学生協のPCが多くの学生に選ばれるのは理由がある。「大学生活の4年間、安心して使えること」だと生活協同組合連合会大学生協事業連合でPCなどを担当している勉学研究事業部購買商品課CSグループ次長の中原宣人氏は語る。

PCメーカー各社と交渉し、4年間使い切ることができるメモリーの容量などをあらかじめカスタマイズした、市販されていないモデルを提供してもらっている。「卒業するまで使ってほしい」という思いが込められているという。必ずしもコンセントが充実していない大学もあることから、長時間駆動バッテリーを採用するなどの工夫もしている。多様な端子への対応など、大学生のニーズに応えている。

学部在籍中の4年間保証

ここまでのオーダーになぜ、メーカーは応えるのか。ロットの数もさることながら、PCメーカーとして、これから社会に出る学生に製品の素晴らしさを知ってもらい、生涯にわたって同じ会社の製品を使ってもらえるという下心も見え隠れする。

4年間、安心して使うための配慮はスペックだけではない。壊れた際の保証も充実しているのが特徴だ。普通のメーカー保証期間である1年を大きく超える4年間の安心保証が支持されている。

パソコンは通常通りに使っていても、突然壊れることがある。一橋大学生協が行った「学生生活丸ごとアンケート」にはPCの故障や破損で苦しんだ学生たちの生の声、いや赤裸々な悲鳴がつづられている。

「(PCが壊れて)課題をスマホやiPadでやることになったが、使いづらかった」「どこに行けば対応してくれるのかわからなかった」「膨大な時間が奪われ、ひたすらイライラした」「画面割れで修理に5万円を要した」「修理代がなく故障したまま使わざるを得なかった」など、PCを壊してしまった学生の悩みは深刻だ。

大学生は想像もできないようなPCの壊し方をする。大学の教室や研究室で落とす、自転車のカゴにPCを載せそのまま転倒し落下させる、自宅でいつの間にか踏みつけていた、寝ているうちに下敷きにしていた、コーヒーや炭酸飲料、ビール等の液体をこぼすなどだ。

大学生協のスタッフは、学生ならではのPCの壊し方を熟知した上で、多くの場合にフォローできる安心のサポートを用意している。壊れた際の4年間保証だけでなく、より深刻な壊れ方をした際の4年間動産保険も用意している。後者は落下や、ジュースをこぼすなどの理由でPCを壊した際に修理代を自己負担金5000円で限度額まで補填する制度だ。

この他にも、大学生協で購入すると「リポートが書けるようになる講習会」やリポート提出時期前のPC故障予測診断を含めた無料の「パソコン点検会」などのイベントに参加することができることも魅力だ。

「未来の長期顧客」に工場の見学会まで実施

購入した製品がいかに安心できるものなのかを納得してもらうために、一部のメーカーと組み、工場見学会まで実施している。パナソニックの人気ノートPC、レッツノートの工場見学会などがそれだ。一橋大学の生協などがこの企画を実施した。2日かけて、レッツノートを生産する神戸工場と、パナソニック本社(大阪)にあるPC修理窓口などを見学する。

この見学会では、落下実験や、キーボードにシャワーで水をかける実験なども行われる。設計を担当したパナソニックの社員まで同席し、こだわりのポイントについてプレゼンする。学生からもその場で意見を吸い上げる。当日は、レッツノートの大学生に対する強みや弱み、取り巻く環境から機会と脅威を分析するSWOT分析のワークも実施された。パナソニックとしては、ニーズを吸い上げることができるし、学生もレッツノートの魅力を再確認することができる企画である。

参加した学生は友人・知人に伝えるので、口コミ効果も期待できる。

大学生協は、学生のPC選びのポイントをどのように捉えているのだろうか?前出の中原氏からは意外な声がかえってきた。

「そもそも、学生はPCの選び方を知らない。何を買っていいのかわからない」状態なのだという。身も蓋もないようで、これは正論ではないか。学生も、多くの場合大学に入るまでにPCに触れる機会が少なかったのだから、当然だ。

「これがほしい!」「こういうことがしたい!」というものがない。このこだわりがある人は大学生協では買わない。最終的には、大学生協がおすすめする品や、専攻したい分野の研究室が推奨するスペックのものに落ち着くことが多いとのことだが。このようにやりたいことがわからない、不安な学生に寄り添うことに、現場で学生と接するスタッフはこだわっているのだという。

最近の動きでは、各大学でノートPCの必携化という動きが始まっている。常に持ち歩き講義や学習で使用する環境になる。長年培ってきた、各メーカーとの信頼関係のもと、学生のニーズを捉えた商品やサービスの提案をしていかなくてはならない。安定的に供給を受ける環境づくりも必須だろう。安心、安全。これが選ばれるキーワードだ。心理的にも、経済的にも、学生に寄り添っているからこそ、選ばれるのだ。

常見陽平(つねみ・ようへい)
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。

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