サバ缶にたっぷり含まれるDHAの意外な働きは?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)イライラなどの敵意性が減る
(2)リラックスに導いたりする脳内神経伝達物質が減少する
正解は、(1)イライラなどの敵意性が減るです。
イラッとしがちな人こそ、サバ缶を
今、日本で最も多く生産されているのは、ツナ缶ではなくサバ缶だということをご存じでしょうか。サバ缶の食材としての魅力の一つは、皮も身も骨も血合いも脂分も、丸ごといただけるということです。
「缶詰に加工する際に、圧力をかける処理を加えることによって、軟らかくなった骨ごと食べることができる。これは、刺し身や焼き魚にはない利点です。皮の周囲にはコラーゲンもたっぷりと含まれています」と早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の矢澤一良さんは説明します。
サバ缶には、DHA(ドコサヘキサエン酸)もたっぷり含まれています。順天堂大学医学部の小林弘幸さんは、「DHAは脳神経細胞の働きを高めますが、反対にDHAが減少すると、神経を安定させたりリラックスに導いたりする脳内神経伝達物質、セロトニンが減少します」と話します。
日本人を対象とした研究では、DHAを継続して摂取することによって敵意性が減るという結果も出ています(下図)。また、海外で約15万人を対象にした複数の研究を解析した結果、「魚の摂取頻度が高いほど、うつ病リスクが低下する」という報告もあります[注1]。
「脳の神経細胞にはDHAが多く含まれており、神経ネットワークであるシナプスには特にDHAが多い。DHAによって脳機能が正常に働くようになるために、ストレスコントロールがうまくいくのでは、と考えています。DHAは脳を健康にする"ブレインフード"であるとともに、情緒的な面をコントロールする"ムードフード"としても注目されていくでしょう」と矢澤さんは解説します。
[注1]J.Epidemiol Community Health:70(3),299-304,2016.
(日経Gooday)
[日経Gooday2019年9月24日付記事を再構成]
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