若い女性を中心に人気が高まっているフィルムカメラ(記事「フィルムカメラ女子 『私は一眼レフよりコンパクト』」参照)。メルカリなどインターネットオークションで手に入れる人も多いが、その一方でSNSなどでは、フィルムカメラに力を入れているというカメラ店も見かけるようになった。それらの店にはどんな人が訪れるのか。「ビギナーの質問にも答えられる店を目指している」という「VOIDLENS」の児玉浩宜さんに話を聞いた。
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VOIDLENSはJR高円寺の北口から3分ほど歩いた静かな商店街の中にある。古い木造の建物を改装したらしい店構えは、大きな看板などはないこともあって、注意していないと通り過ぎてしまいそう。中に入ると木製の棚や本箱に、無造作にカメラが並んでいて、カメラ店というよりも、気取らない雑貨店のような雰囲気だ。並んでいるカメラも高機能な一眼レフではなく、もっと身近なコンパクトカメラが中心になっている。

――このお店を始めたきっかけを教えてください。
僕はもともとフリーランスで写真を撮っていたんです。香港に写真を撮りに行ったりもしているのですが、3年ぐらい前に香港人の友人に「今、香港でフィルムカメラがすごくはやっていて、日本でも絶対はやるから、やったほうがいい」って言われたんですよ。それで、借りていた高円寺のガード下の事務所にカメラを5台くらい並べて店を始めてみたんです。でも最初は、そんなにはやる感じはしなかったですね。
――宣伝はどうやっていたんですか?
実はほとんど宣伝していません。インスタグラムをやっているぐらいで、他は全然。だから、ウチでカメラを買った人がインスタに撮った写真を上げて、それを見た友達に「どこで買ったの?」って聞かれて、その友達を店に連れてきてくれるみたいなことが多いですね。
「Wi-Fiはありますか」「スマホとの接続は?」
――フィルムカメラを買いに来るお客さんは、どんな人ですか?
だいたいが大学生から20代前半の若い子ですね。女性が7、8割で圧倒的に多いかな。
――「フィルムカメラは初めて」という方も多いですか?
多いですね。ウチは基本的に、ビギナー向けのお店にしたいんです。マニア向けとかプロ向けにフィルムカメラを扱っているお店はいっぱいあるけど、そういうところはビギナーは入りにくいですから。
ウチに来るフィルムカメラを知らない人は「Wi-Fi機能はついていますか」「スマホとどうやってつなげればいいですか」「充電はUSBですか」とか聞いてくるレベルなので、そこを根気強く説明しています。
そういうレベルの話は、たぶん他の店では気軽に聞けない。だからウチは、そういうレベルの質問ができる、入り口の店にしたいと思っています。
――初めての人が買うのは、どんなカメラですか?