■「男の匂い」を消さないため一切洗わず

ところで、コロンボのレインコートは、ほこりよけのダストコートでもあります。本来は下のスーツを汚さないために着るコートなのです。トレンチコートなどもレインコートであり、ダストコートであります。

ダンディーはそうそう簡単にレインコートを洗ったりしません。着て、着て、着込んで、男の匂いが出るくらいが「カンロク」なのです。そこには男の人生の一部が刻みこまれているのですから。ピーター・フォークも親近感を出すために、コロンボ用のコートを一切洗うことがなかった。ダンディーは「男の匂い」を消さないために洗わないのです。

男が1着のコートに操を立てるとき、コートは必ずその思いに応えてくれます。仮に大量生産のコートであっても、着続けた末、自分だけのオリジナル・ワンのコートになってくれるはずです。

一着のコートを愛し続けること、これまたダンディズムなのであります。

出石尚三
服飾評論家。1944年高松市生まれ。19歳の時に業界紙編集長と出会ったことをきっかけに服飾評論家の元で働き、ファッション記事を書き始める。23歳で独立。著書に「完本ブルー・ジーンズ」(新潮社)「ロレックスの秘密」(講談社)「男はなぜネクタイを結ぶのか」(新潮社)「フィリップ・マーロウのダンディズム」(集英社)などがある。

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