スズキの名車「カタナ」が復活 扱いやすさにびっくり

GSX-R1000用の998cc水冷直列4気筒エンジンに専用のチューニングを施し、扱いやすさを向上させた。最高出力は148ps、最大トルクは107Nm。軽量・高剛性なアルミ製フレームに搭載する

もちろん、だからといって羊のようにおとなしいわけではない。スロットルをラフにひねれば野太いエグゾーストノートと共に弾丸のように加速する。一般公道で高回転を維持して走ることは不可能である。フレームやブレーキなど、腕に覚えのある人がサーキットをぶっ飛ばせば色々見えてくる部分もあるのだろうが、私ごときが公道を普通に走っただけでは「とても良くできた現代のスポーツバイク」としか言いようがない。

オリジナルのカタナは高性能だが、大きく重く、癖のある操縦性で乗り手を選ぶマシンとして知られたが、新型カタナは強烈なハイパフォーマンスを絶妙に手なずけた対照的なキャラクターといえる。

オリジナルのカタナと同様、短いスクリーンとくさび型のフロントカウル、角型ヘッドライトを採用する

次に(2)の名車の再現性・表現力について。新型カタナのスタイリングについて、正直かなり違和感を持った。燃料タンクのシャープなプレスライン、くさび型のフロントカウル、半月型のフロントフェンダー、そして角型のライト……オリジナルのカタナを思わせる分かりやすいディテールは随所にあるものの、全体の印象がオリジナルとはまったく違ったからだ。シートにまたがってもカタナをモチーフにしたバイクに乗っている感じはほとんどない。

これはいまの大型スポーツバイクの成り立ちが当時と大きく変わったことにも由来する。オリジナルのカタナが登場した80年代初頭の大型スポーツバイクは基本的に最高速重視の高速ツアラーだった。

メーターの液晶ディスプレーはイグニッションをONにすると「SUZUKI」の文字が表示され、画面が刀で斬られた後で「KATANA」の文字が浮かび上がる

オリジナルのカタナはこの高速ツアラーの上にこれまでにない斬新かつ理想主義的なスタイリングをかぶせて誕生したものだ。きゃしゃな鉄フレームに細いタイヤ、ロングホイールベースの車体とくさび型のスタイリングの組み合わせは確かに日本刀のごとき繊細さを感じさせた。

対して新型カタナのベースとなったのはストリートやワインディングで高い運動性を発揮する近代的なスプリンター。まったく違う土台にそれっぽいスタイリングを与えても雰囲気が異なるのは当たり前だ。前述の通り、ノスタルジーを喚起させることがこの手のネオクラシックの魅力とするなら、個人的にスタリングの評価はどうしても辛くなってしまう。

ただ、実際に町を走ると周囲からの注目度はかなりのものだった。いくら新型車でも道端ちょっと停めただけで通行人に指を差されるなんて経験はそうあるものではない。筆者のような口うるさいライダーの批判的意見など、ものともしない存在感。カタナというブランドの威光をまざまざと見せつけられた。

フロントブレーキはブレンボ製ラジアルマウントキャリパーに310mmフローティングマウントのダブルディスクの組み合わせ
GSX-R1000譲りのアルミ製のスイングアーム。スズキ初となるターンシグナル付スイングアームマウントリヤフェンダーを取り付けるため形状を一部変更してある

(ライター 佐藤旅宇)

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